今夏の移籍市場において、マンチェスター・ユナイテッドは中盤の補強を最優先事項として進めている。財政面での制約が続く中、オールド・トラッフォードにとってリーズナブルかつ即戦力となるタレントの確保が求められており、レスター・シティに所属するナイジェリア代表ウィルフレッド・エンディディの名前が急浮上している。
伊『TuttuSport』などの報道によれば、ユナイテッドは900万ポンドという解除条項が設定されているエンディディの獲得を本格的に検討中。昨季のチャンピオンシップでのパフォーマンスに加え、レスターの降格により相場以下の価格で市場に出ている点が評価されている。
カゼミーロが33歳となりパフォーマンスに陰りが見え始める中で、マヌエル・ウガルテもいまだにレギュラーとして定着できていない。中盤の再構築が急がれるユナイテッドにとって、29歳のエンディディは費用対効果の高い選択肢となり得る。
プレッシング能力やフィジカル、ボール奪取の巧さに加え、リーダーシップも兼ね備えており、ルベン・アモリム監督が志向するダイナミックなスタイルにも適応できる可能性がある。
ライバルの存在と限られた予算が生むジレンマ
ただし、ユナイテッドにとって状況は楽観視できない。他クラブの動きも活発化しており、エヴァートンやクリスタル・パレス、フラムがエンディディ獲得レースに参戦。海外ではユヴェントスやレアル・ベティスも水面下で交渉を進めているとされている。
ユナイテッドが抱える最大の懸念は、来季の欧州カップ戦出場権を持たないことだ。特にチャンピオンズリーグ出場クラブであるユヴェントスの存在は、選手の心を揺さぶる要因となる可能性がある。
加えて、クラブの予算事情も楽ではない。バレンシアのハビ・ゲラに関する噂はすでに否定されており、高額な移籍金を要する選手には手を出せない状況が続く。一方で、ブライアン・ムベウモのようなプレミアリーグ内の選手には引き続き関心を示していると見られており、複数の放出候補選手を市場に出して資金捻出を試みている。
なお、ACミランが獲得したアルドン・ヤシャリに関しても、ユナイテッドは以前から注目していたとされており、3450万ポンドでの移籍が実現したことで補強プランの一部見直しを迫られた形だ。
現実的な予算の中でいかに質の高い補強を進められるか。それが今夏のユナイテッドの命題であり、エンディディ獲得がその試金石となるのは間違いない。