昨シーズン、マンチェスター・シティはプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、さらにはFIFAクラブワールドカップでもタイトルを逃し、4冠を成し遂げた前シーズンから一転、苦い結果に終わった。特にクラブワールドカップではサウジアラビアのアル・ヒラルに4-3で敗れ、ラウンド16敗退というまさかの展開を迎えた。
この現状を受け、クラブは今夏の移籍市場でチームの大幅な見直しに着手している。中心となるのは、新たにフットボールディレクターに就任したウーゴ・ヴィアナ。スポルティングCPで辣腕を振るった彼が、チキ・ベギリスタインの後任としてグアルディオラ監督とともにチーム改革を進めている。
ベテラン勢の退団が加速、狙いは若返りと柔軟な陣容構築
すでにシティは主力選手の整理に踏み切っており、複数の選手が退団、または退団間近と報じられている。
ケビン・デ・ブライネは契約満了を迎える中、クラブとの延長交渉は行われず、今夏での退団が決定。クラブ史に名を残す司令塔との別れは、新時代への移行を象徴する動きとなった。カイル・ウォーカーはバーンリーへ移籍し、最大500万ポンドの移籍金が発生する見通しで、長年右サイドを支えてきたDFもチームを後にする。
さらに、スコット・カーソン、ジャック・グリーリッシュ、カルビン・フィリップスらも放出候補とされており、移籍市場閉幕となる9月1日までにローンも含めて退団の可能性が高まっている。ジョン・ストーンズについても、契約最終年かつ度重なる負傷が影響し、古巣エバートン復帰の可能性が報じられている。
一方で、新たな補強も着々と進められており、シティはタイアニ・ラインデルス、ラヤン・アイト=ヌーリ、マーカス・ベッティネッリ、さらにはリヨンのラヤン・シェルキといった若手有望株を獲得。攻撃陣に加わったシェルキは、今後の前線に新たな刺激をもたらす存在として期待されている。
特に注目されているのが右サイドバックの補強。カイル・ウォーカーの後釜として、ニューカッスル所属のバレンティーノ・リヴラメントの名前が浮上しており、今夏中に再交渉へ踏み切る可能性も指摘されている。
ロドリゴ・モラに各クラブが熱視線も、シティの関心は限定的
この夏の移籍市場でヨーロッパ中の注目を集めているのが、ポルトに所属する攻撃的MFロドリゴ・モラだ。ポルトガル代表としても頭角を現し、アメリカで行われたクラブワールドカップではシティのスカウト陣が彼のプレーを視察したと報じられている。
その才能に関心を寄せるのはシティだけではない。アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドも彼の獲得に動いており、とくにアーセナルはスポルティングCPのヴィクトル・ギョケレスとともに、積極的な交渉を進めているとされる。
ロドリゴ・モラは2030年までの長期契約をポルトと結んでおり、契約解除金は7000万ユーロに設定されている。だが、現時点でシティが獲得に本腰を入れる可能性は高くないという。理由として、すでに攻撃陣にはフィル・フォーデン、ジェレミー・ドクらが揃っており、加えて今夏にはシェルキが加入したばかりという背景がある。
ウーゴ・ヴィアナの到着により、マンチェスター・シティは再びプレミアリーグと欧州制覇を見据えた布陣構築に動き出した。チームの世代交代と適切な戦力補強のバランスをいかに保つか。移籍市場の動向が、グアルディオラ監督の進退とともに、今後のクラブの未来を大きく左右することになるだろう。