チェルシーが新シーズンに向けて大型補強を進める中、昨季レギュラーとして一定の存在感を示したニコラス・ジャクソンの立場が揺らいでいる。スペイン紙『Fichajes』によれば、24歳のセネガル代表フォワードにはバルセロナからの関心が寄せられており、ローン移籍という形でのスペイン復帰が現実味を帯び始めているようだ。
ロンドンの強豪クラブは今夏、すでに約1億4000万ポンドを補強に投じており、その内訳にはリアム・デラップやジョアン・ペドロ、ジェイミー・ギッテンズといった攻撃的な人材も含まれている。
エンツォ・マレスカ監督は戦術の再構築を進めており、昨季のクラブワールドカップ準決勝ではジャクソンではなくジョアン・ペドロをストライカーとして起用。この起用方針が、ジャクソンにとって逆風となっているのは明白。
プレミアリーグにおける昨季の平均評価点は6.88と、決して低調な数字ではない。コール・パーマーら主力に次ぐ評価を受けており、シーズン終盤には元イングランド代表のジョー・コール氏から「マレスカ監督にとって最重要選手の一人」とまで評された。
ただ、それでも今夏の補強戦略の波に飲まれ、放出候補リストに名前が浮上してしまうのがチェルシーというクラブの現実でもある。FIFAクラブワールドカップで得た8000万ポンドを考慮しても、財政面ではFFPへの対応が求められており、売却益の確保は急務。
バルセロナが動向に注目!安価な補強ターゲットとして浮上
こうした状況のなか、スペインの名門バルセロナがジャクソンに対して関心を示している。クラブの財政事情は相変わらず厳しく、今夏も大型補強は困難な見通し。そのため、ラ・リーガ経験があり、ポジション適応力に優れたフォワードをレンタルで確保するというアプローチは理にかなっている。
バルセロナは当初、アスレティック・ビルバオのニコ・ウィリアムズの獲得を目指していたが、条件面で合意に至らず。次なる候補としてジャクソンをリストアップしており、彼のビジャレアル時代の実績や、中央だけでなくサイドでもプレー可能な特性が評価されているようだ。
高額の移籍金が必要となるマルクス・ラッシュフォードやルイス・ディアスといった他のプレミアリーグ所属選手に比べ、ジャクソンのローン移籍案ははるかに現実的。昨季ラ・リーガを制覇したハンス・フリック監督も、彼の機動力と守備貢献を高く評価しているとされる。
現在のところ、クラブ間で正式な交渉は開始されていないとされるが、ジャクソン側はすでに移籍の選択肢を模索しており、チェルシー側も出場機会が保証されるクラブへのローンであれば容認する姿勢を見せている模様。
チェルシーはジャクソンに対して約5200万ポンドの移籍金を設定しており、バルセロナ側もその額を把握しているという。なお、スペイン国内ではアトレティコ・マドリードも水面下でジャクソンに関心を寄せているとの声もあり、今後の去就は不透明なまま。
不確実な立場に置かれたジャクソンと、限られた予算内での補強が求められるバルセロナ。両者の利害が一致したとき、大きな移籍が現実となる可能性は十分にある。