アヤックスでの輝きを取り戻せず、マンチェスター・ユナイテッドで苦しい時間を過ごしてきたアントニーだが、その去就が、いよいよ最終局面を迎えている。
昨シーズン後半にレアル・ベティスへと短期間ローン移籍したブラジル人ウィンガーは、スペインの地で再び輝きを放った。ピッチでの積極性や仕掛ける姿勢はプレミアリーグ時代とは明らかに異なり、本来のプレースタイルを取り戻すかのようなパフォーマンスを披露。わずか数ヶ月という短い時間の中で、彼は失っていた自信と楽しむ心を再発見することに成功している。
スペイン紙『Fichajes』の報道によれば、アントニーはすでにマンチェスター・ユナイテッドに対して移籍の意向を伝えており、レアル・ベティスへの完全移籍が現実味を帯びてきている。
同メディアによると、選手側は他クラブからの関心を一切考慮しておらず、唯一の選択肢としてベティス復帰を望んでいるとのこと。驚くべきは、年俸の大幅な減額も受け入れる姿勢を示している点であり、その決意の強さが伝わってくる。
現時点で両クラブ間の交渉は順調に進んでおり、ベティス側も財政状況の厳しさを抱えつつ、アントニー獲得に前向きな姿勢を崩していない。マンチェスター・ユナイテッドとしても、高額な移籍金で迎え入れたアントニーを放出することで、少しでも投資回収を図りたい意向がある。
この取引が成立すれば、アントニーにとってはキャリア再起の足掛かりとなり、ベティスにとっては攻撃の切り札を確保するビッグディールになるだろう。新シーズンのラ・リーガに向けて、ベティスがどのような陣容で臨むのかにも注目が集まる。
今夏の移籍市場で、静かに、しかし確実に注目を集め始めているこの案件。アントニーが緑と白のユニフォームに再び袖を通す日は、思ったよりも早く訪れるかもしれない。