今夏の移籍市場で大きな注目を集めていたトッテナム・ホットスパーのディフェンダー、クリスティアン・ロメロの去就問題に一つの結末が見え始めている。かねてより獲得に動いていたアトレティコ・マドリードが、アルゼンチン代表DFの獲得レースから事実上の撤退を決断したと、英『TBR Football』が報じている。
同メディアによれば、アトレティコはロメロの獲得に向けて全力を尽くしたものの、クラブ内部では最終的に実現困難と判断。取引を断念しつつあるそうだ。ディエゴ・シメオネ監督が強く望んでいた補強だけに、スペイン側の失望感は大きいが、トッテナムにとってはポジティブな展開となった。
一方で、ノースロンドンのクラブを率いるダニエル・レヴィ会長は、かねてよりロメロの慰留に全力を注いでおり、選手に対してクラブ最高級の契約を用意。すでに条件提示を終えており、残留への流れが強まりつつある。
アルゼンチン代表DFの本心とフランク新監督の構想
もっとも、選手本人の心中は複雑だ。母国アルゼンチンの報道では、ロメロが新たな挑戦を望んでいたとも伝えられており、トッテナムからの新契約オファーを一度は拒否。だが、アトレティコとの契約が成立しない状況下で、代理人は再びクラブとの交渉に応じる姿勢を見せ始めている。
選手が語ったとされる発言によれば、問題は金銭ではなくキャリアとしての挑戦であり、トッテナムへの愛情も依然として変わらない。今回の動きが移籍騒動の完全な終結を意味するわけではないが、少なくとも今夏の移籍は現実味を失いつつある。
新指揮官として就任したトーマス・フランク監督は、ロメロを守備の要に据えてチームを再編する構想を描いており、慰留は不可欠。昨シーズンにはプレミアリーグで降格圏をギリギリ逃れた順位だっただけに、立て直しのためにはアルゼンチン代表DFの存在は欠かせない。
プレシーズンに向けてチームはすでに始動しており、ロメロも今週、クラブのトレーニング施設に姿を現した。7月18日のレディング戦での出場が期待され、8月にはUEFAスーパーカップでのパリ・サンジェルマン戦という大一番も控えている。
もしこの試合でロメロが先発に名を連ねることになれば、今シーズンもトッテナムの守備陣において欠かせない存在であることが証明されるだろう。