FAカップでクラブ史に残る優勝を果たしたクリスタル・パレス。その偉業の立役者であるダニエル・ムニョスが、新たなキャリアの扉を開こうとしている。コロンビア代表の右サイドバックは、セルハースト・パークでの成功にもかかわらず、移籍市場が開かれるこの夏、欧州の強豪クラブへの挑戦を望んでいるようだ。
今季途中に2028年までの新契約を締結したムニョス。しかし、彼はすでに次のステップに意欲を燃やしており、クラブとの契約がキャリアの足枷にならないことを示唆している。
ムニョスは今春のFAカップ決勝、マンチェスター・シティを相手にエベレチ・エゼの決勝ゴールをアシスト。その勝利はクラブにとって初の主要タイトルであり、彼の貢献は歴史に刻まれるものだった。だが、ムニョスは現在コロンビアで古巣アトレティコ・ナシオナルとトレーニングを行う中で、さらなる高みを目指していることを明かした。
ムニョスは『Win Sports TV』に対して、世界最高のクラブでプレーする夢を語り、現時点で具体的なオファーはないとしながらも、移籍実現を強く願っているという。夢と現実のバランスをとりつつ、あくまで前向きなスタンスを崩していない。
欧州カップ戦の行方と主力流出の懸念
クラブにとって頭の痛い問題はムニョスだけではない。FAカップ優勝により本来ならヨーロッパリーグへの出場権を得ていたパレスだが、UEFAのマルチクラブルールにより出場可否が不透明になっている。リヨンのリーグ・ドゥ降格により一時は希望が見えたが、同クラブが控訴に成功したため、パレスはヨーロッパカンファレンスリーグに回される可能性が浮上している。
こうした混乱は選手の士気やクラブの立場に影響を与えかねず、ムニョスのように野心を持つ選手にとっては退団の動機にもなり得る。同時に、エゼへの関心も高まっている。アーセナルが6800万ポンドの契約解除金を視野に動いているとされており、今夏のパレスは守りの移籍市場を強いられる可能性がある。
歴史的タイトルの余韻も束の間、クリスタル・パレスは大きな岐路に立たされている。ムニョスの去就、エゼへの関心、そして欧州カップ戦の出場権問題。すべてがクラブの未来を左右する鍵となる。
ムニョスが語った夢がこの夏に現実となるのか。それともクラブは主力をつなぎ止め、新たなシーズンへ向けて安定を図るのか。答えが出るまで、しばらく目が離せない。