2025年夏の移籍市場は静かに熱を帯び始めている。その中で、プレミアリーグ昇格を果たしたばかりのサンダーランドAFCが、レスター・シティに所属するモロッコ代表MFビラル・エル・カンヌスの獲得に動いていると報じられていると、フランス紙『L’Equipe』が伝えた。
レスターは昨シーズンの不振によりチャンピオンシップへと降格。だが、21歳のプレーメーカーはその混乱の中でも32試合に出場し、2ゴール3アシストを記録。移籍初年度とは思えぬ落ち着きと創造性で、チームの中核を担った。
サンダーランドはすでにレスターに対して正式な打診を行っており、今夏の補強リストの最優先ターゲットとしてエル・カンヌスを位置付けているという。
同選手を巡っては、リーグ・アンのASモナコやプレミア勢のウェストハム・ユナイテッドも興味を示しているが、サンダーランドが先行している模様。ここまでに6人の新戦力を迎え入れており、エル・カンヌスが7人目の補強となれば、来季に向けた体制は着実に整いつつある。
残留は非現実的か…契約条項が移籍を後押し?
エル・カンヌスは昨年夏、ベルギーのヘンクからレスターに加入。当時の移籍金は推定2100万ポンドで、クラブとしても大きな投資を行った形だ。だが、本人は2部でのプレーには前向きではないとされており、クラブ側も放出を完全には否定していない。
移籍を巡って注目されているのが、契約に盛り込まれたとされるリリース条項の存在。具体的な金額は明かされていないが、昨夏の移籍額が現在の市場価値のベースになると見られている。この条項が適用されれば、サンダーランドをはじめとする複数クラブが一気に獲得に動く可能性もある。
選手の週給は『Capology』の推定によると約3万5000ポンド。21歳の将来有望なミッドフィルダーとしては妥当な評価であり、今後数年でさらなる飛躍を遂げることは間違いない。プレースタイルは中盤での配球とドリブル突破を兼ね備えており、チームのテンポを司る存在になれる資質を持っている。
一方で、レスター・シティはマルティ・シフエンテス新監督のもとでチーム再建を急いでいる。今夏は静かな補強にとどまっており、ダニエル・イヴェルセンやジェイミー・ヴァーディーらベテランの退団が続く中、8月10日のチャンピオンシップ開幕戦を控えて、戦力の入れ替えは避けられない状況だ。
その中で、エル・カンヌスの退団は避けられない流れとも見られており、サンダーランドがこのチャンスを逃すとは考えにくい。
若さと才能を併せ持つエル・カンヌスの今夏の動向は、プレミアリーグをはじめとした複数クラブにとって重要な戦力となることは間違いない。彼の去就次第では、サンダーランドの戦力図だけでなく、レスターの再建計画にも大きな影響を与えることになるだろう。