グレアム・ポッター監督の下、新体制で再出発を図るウェストハム・ユナイテッドが、大型補強に動いている。今夏の移籍市場で注目を集めるのが、10代の頃からリヴァプールの下部組織で育った2人のミッドフィールダー、ハーヴェイ・エリオットとタイラー・モートンへの関心だ。
プレミアリーグにおける中盤の刷新を目指すウェストハムにとって、この若きデュオは魅力的なターゲットとなっている。イングランドの名門クラブで研鑽を積んだ彼らが、ロンドンの地で新たな挑戦に踏み出す日は近いのかもしれない。
リヴァプールでプロキャリアをスタートさせたハーヴェイ・エリオットは、22歳にしてすでに多くの注目を集めている。今夏のU-21欧州選手権ではイングランド代表として6試合5得点を挙げ、優勝と大会最優秀選手のタイトルを手にした。攻撃的ミッドフィールダーとしての爆発力は、リー・カーズリー代表監督からも高い評価を受けている。
しかしながら、クラブでの状況はやや異なる。2024-25シーズンのプレミアリーグでの出場は18試合にとどまり、先発はわずか2回。サイドと中央の両方をこなすユーティリティ性を持ちながらも、定位置を掴みきれていない。
本人もインタビューで、23歳を迎える来シーズンに向けてキャリアの転機を意識していることを明かしており、出場機会を優先した移籍の可能性も否定していない。クラブへの愛着と同時に、プロとしての決断が求められるタイミングだ。
そんな中、ウェストハムはエリオットに対して具体的な評価額を設定していると報じられており、リヴァプール側は買い戻し条項付きで4000万ポンド、なしでは5000万ポンドを要求しているという。
モハメド・クドゥスの放出により、攻撃の中心を欠いたウェストハムにとって、エリオットは新たな攻撃の中心にもなり得る。
モートンにも熱視線!経験を積んだ若武者がロンドンで飛躍なるか
もう1人のターゲット、タイラー・モートンもまた、リヴァプールのアカデミー育ち。ブラックバーン、そして昨季のハル・シティへのローン移籍を経て、経験を積みながらトップチーム入りを目指している。彼もまたイングランドU-21代表歴を持ち、技術と戦術眼に優れた中盤の構成力を評価されている。
ただし、一部報道では、プレミアリーグで週ごとに繰り広げられるフィジカルバトルに対して、やや線が細いとの見方も。そのため、即戦力としての評価にはばらつきがあり、補強リストの中でも補助的な位置づけになる可能性は否定できない。
一方で、ルーカス・パケタのブラジル復帰が噂される今、ウェストハムにとって中盤のオプションは多ければ多いほど良い。ジェームズ・ウォード=プラウズやエドソン・アルバレスに頼る現在の陣容では、1シーズンを乗り切るには不安が残る。
ポッター監督はすでにスラヴィア・プラハからエル・ハジ・マリク・ディウフを獲得間近とされており、ディウフに続く本格補強として、エリオットとモートンの獲得に動く構えだ。
クドゥスの移籍で得た資金、約5450万ポンドを背景に、ウェストハムの今夏の戦略は明確。若く、成長の余地が大きい才能を集め、チームに活力を吹き込むことで、トップ6入りを視野に入れた新たな挑戦が始まっている。
リヴァプールの未来を嘱望されてきた2人の若者が、ロンドンに新天地を求めるかもしれない。ウェストハムの野心と、選手たちの成長欲求が交差するこの移籍劇は、プレミアリーグ全体に少なからぬ影響を与えるだろう。