マンチェスター・ユナイテッドが新たなターゲットとしてフランス代表MFコランタン・トリッソに関心を寄せていると、フランス紙『L’Equipe』が報じた。
現在リヨンに所属するトリッソは、バイエルン・ミュンヘン時代に欧州最高峰の舞台で経験を積み、2018年にはワールドカップ優勝も果たしている。経験豊富な中盤のピースとして、ルベン・アモリム監督の下でチーム再建を進めるユナイテッドにとって、理想的な補強候補と言える。
ユナイテッドは今夏、クリスティアン・エリクセンの退団によって中盤の人材確保が急務となっており、現時点での補強はウルヴズから加入が決まったマテウス・クーニャのみにとどまっている。さらに、ブレントフォード所属のブライアン・ムベウモにも関心を示しているとされるが、具体的な進展は見られていない。
そのような状況の中、トリッソの名前が浮上した。報道によれば、ユナイテッドはすでに代理人と初期的な接触を済ませており、移籍の可能性を探る段階に入っている。本人もプレミアリーグ挑戦に前向きだとされており、両者の利害が一致すれば一気に交渉が加速する可能性はある。
財政難のリヨンと複数クラブによる争奪戦
トリッソの去就に大きな影響を与えるのが、リヨンの厳しい財政状況だ。クラブは来季、トリッソを軸としたチームづくりを想定していたが、経済的な事情から計画変更を余儀なくされているという。
実際、フランスメディアはトリッソがクラブ最高給の選手であり、売却によって得られる移籍金は870万ポンド以上になると伝えている。
こうした背景から、ユナイテッドにとってはお得な取引になる可能性もある。ただし、ライバルも少なくない。スペインのアトレティコ・マドリードは、インテル・マイアミ移籍が取り沙汰されるロドリゴ・デ・パウルの後釜としてトリッソに目をつけており、状況次第では本格的な争奪戦に発展しそうだ。
さらに、中東のサウジアラビア勢も動向を見守る。なかでも注目されているのが、今夏に元アーセナルFWアレクサンドル・ラカゼットやウェストハム出身のMFサイード・ベンラーマを獲得したネオムSCだ。同クラブはリヨンとの関係性が深く、さらにグラニト・ジャカの加入も噂されるなど、欧州で実績を持つ選手の確保に積極的な姿勢を見せている。
ユナイテッドにとっては、資金力で勝る中東勢との競争は簡単ではない。だが、プレミアリーグの舞台とクラブの名声は、依然として選手を惹きつける大きな要素となる。
移籍市場はまだ序盤だが、トリッソの去就が中盤補強を目指すユナイテッドの戦略に大きな影響を与えるのは間違いない。