各国の強豪クラブによるストライカー獲得レースが一層熾烈さを増している。そんな中、ニューカッスル・ユナイテッドが注目するのは、ブレントフォードで結果を出し続けるヨアネ・ウィサ。今夏の補強リストの中でも、彼の名前は最も現実味を帯びたターゲットとなっている。
数日前、ニューカッスルはアイントラハト・フランクフルト所属のウーゴ・エキティケ獲得にオファーを提示するも、クラブ側に断られ交渉は決裂。英『BBC Sport』によれば、24時間以内にこの方針を撤回し、新たにウィサに矛先を向けたと報じられている。
同選手を巡る争奪戦にはトッテナムやノッティンガム・フォレストも参戦しているものの、現時点でニューカッスルは他クラブに先んじて動きを見せ始めている。
エキティケに関しては、リヴァプールもアレクサンデル・イサクの代役候補としてリストアップしており、ニューカッスルがイサクの放出を拒んでいることから、リヴァプールが獲得へ本格的に動き出した。
ブレントフォードで覚醒した万能ストライカー、ヨアネ・ウィサの真価
ウィサが脚光を浴びる理由は、単なる数字の裏付けだけではない。2021年夏にロリアンからブレントフォードへ加入して以来、プレミアリーグで137試合45ゴールという数字は、並のストライカーでは到達できない域に達している。
その進化が本格化したのは、昨夏イヴァン・トニーがサウジアラビアへ移籍した後だ。これまで2列目やウイングでの起用が主だったウィサは、CFのポジションに本格的に定着。これが彼のキャリアに転機をもたらし、2024-25シーズンにはプレミアリーグで19ゴールを記録するなど、一気にリーグ屈指のフィニッシャーへと成長した。
それだけでなく、ウィサの持つスピードとポジショニングのセンスは、ハイラインを敷くチームにとってはまさに理想のカウンター要員でもある。コンゴ民主共和国代表としても活躍する彼のプレースタイルは、ニューカッスルの攻撃にさらなるバリエーションを加える存在となり得る。
チャンピオンズリーグ出場を巡る野心、そしてブレントフォードの決断は
ブレントフォードは当然ながら主力の流出を避けたい構えを崩していない。ブライアン・ムベウモ同様、ウィサもクラブにとっては不可欠な戦力だ。しかし、選手本人は欧州最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグへの憧れを抱いているとされ、ウィサが移籍に前向きである可能性を示唆している。
ニューカッスルにとっては、エキティケを逃した今、即戦力のセンターフォワードを獲得することは急務。攻撃の中心を担うイサクとの競争、あるいは共存を見据えたプランは、来季の戦いにおいて重要な意味を持つ。
ただし、ブレントフォードとの交渉は簡単ではない。移籍金の設定も4000万ポンド以上が想定されており、ニューカッスルがこの額を受け入れるかどうかが鍵となる。仮に獲得が実現すれば、ウィサにとってもクラブにとってもキャリアの転機となるだろう。
今夏のプレミアリーグ移籍市場において、ヨアネ・ウィサの去就は他クラブにも波及する重要なポイントだ。トッテナム、ノッティンガム・フォレスト、そしてニューカッスル…いずれがこの万能ストライカーを手中に収めるのか。