ウナイ・エメリ監督率いるアストン・ヴィラのMFジェイコブ・ラムジーの去就が慌ただしくなっている。地元出身でクラブのアカデミーから育った24歳は、長らくチームの将来を担う逸材として高く評価されてきたが、その去就がにわかに不透明となっている。
プレミアリーグ上位勢の中でも、ラムジーの動向を最も関心を示しているとされるのがトッテナム・ホットスパーとニューカッスル・ユナイテッド。いずれも今季チャンピオンズリーグ出場権を逃しており、中盤の強化を最重要課題に据えている。
特にニューカッスルは、ラムジーを昨季からリストアップしており、継続的なスカウティングを行っていると英『TBR Football』が報じている。
注目ポイントはCLでのプレー機会と財政面
ラムジーのアストン・ヴィラとの契約は2028年まで残っているが、昨季のプレミアリーグでは19試合出場にとどまり、うち半数近くが途中出場。エメリ監督のもとでの序列低下が移籍の可能性を高めている。
選手自身もキャリアの次のステップとして、欧州の舞台への挑戦を強く望んでいるとされており、特にチャンピオンズリーグ出場クラブへの移籍は本人にとって大きな魅力となっている。イングランド代表入りへの足がかりとしても、ビッグステージでの経験は欠かせない。
一方、クラブ側にも放出を検討する余地がある。英『TBR Football』のグレアム・ベイリー氏によれば、ヴィラにとってアカデミー出身選手の売却は帳簿上すべてが利益として計上される「純益の取引」となる。これはプレミアリーグの収益性・持続可能性規則(PSR)における重要な調整手段となりうる。
実際、昨季チェルシーやノッティンガム・フォレストもラムジーの獲得を検討していたが、今夏に関してはスパーズとマグパイズが本命視されている。前者はトーマス・フランク新監督の下で攻撃的MFの新戦力を模索しており、後者はショーン・ロングスタッフのリーズ・ユナイテッド移籍に伴い、中盤の枚数確保が急務となっている。
ラムジーはエメリ体制下でもそのポテンシャルの高さを認められており、2024年1月には監督自身が「非常に重要な選手」と評していた。しかし、戦術的な適応や出場機会を踏まえると、クラブと選手の利害が必ずしも一致しているとは言いがたい。
この夏、ラムジーがどのユニフォームに袖を通すのか。その選択は、彼のキャリアの分岐点となるかもしれない。