アストン・ヴィラの中盤を支える存在となっているユーリ・ティーレマンスに、サウジ・プロリーグの複数クラブが本格的な関心を寄せている。中でもアル・イテハドが獲得候補として浮上しており、今夏の移籍市場で具体的な動きが見込まれている。
英『Sky Sports』によると、アル・イテハドはティーレマンスを優先補強リストの最上位に置いており、交渉に向けて準備を進めているようだ。同クラブはカリム・ベンゼマ、エンゴロ・カンテ、ファビーニョらに加え、元ヴィラのムサ・ディアビも擁するなど、中東屈指の豪華布陣を形成。ティーレマンスの獲得に向けて潤沢な資金を背景に攻勢を強める構えだ。
一方、アストン・ヴィラにとっても今回の関心は無視できるものではない。というのも、ティーレマンスは2023年夏にレスター・シティからフリートランスファーで加入しており、移籍金ゼロで獲得した選手を高額で売却できる可能性があるからだ。
『Transfermarkt』によると、現在の市場価値はおよそ3800万ポンドとされており、仮にそれに近いオファーが提示されれば、クラブとしては巨額の利益を手にすることになる。
エメリ体制下で輝きを放つ中盤の要…放出は利益か損失か
加入当初は出場機会が限られていたティーレマンスだが、2023年11月頃から先発に定着すると、そのパフォーマンスが一変。攻守のバランスを取る知的なプレーとゲームメイク能力は、ウナイ・エメリ監督の下での戦術に完全にフィットし、ヴィラの欧州カップ戦出場権獲得にも大きく貢献してきた。
チームの中心には、ティーレマンスをはじめとするコストパフォーマンスに優れた中盤陣が揃う。ブバカル・カマラ、ジェイコブ・ラムジー、そしてキャプテンのジョン・マッギンといった顔ぶれとともに、プレミアリーグでも屈指の中盤ユニットを形成しているのが現状だ。
現在28歳のティーレマンスは2027年までの長期契約を結んでおり、契約期間の中間点に差し掛かった段階。ヴィラとしては今が売却のタイミングとして最適という見方もできる。だが、来季のヨーロッパリーグに向けて、主力の流出は来季の戦力ダウンにも直結しかねない。
今回の移籍話は、単なる一選手の動向にとどまらない。28歳のベルギー代表MFの去就は、アストン・ヴィラの将来を左右する重大な判断材料になり得る。