プレミアリーグの中でも今や屈指の点取り屋として名を馳せるアレクサンデル・イサク。彼を巡る移籍市場の動きが、にわかに活発さを増している。
フランス紙『L’Equipe』によれば、サウジ・プロリーグのアル・ヒラルがイサク獲得に向けて1億3,000万ユーロにのぼる巨額のオファーを準備しているようだ。クラブを所有するのは、サウジ公共投資基金(PIF)。奇しくも、同じPIFがニューカッスル・ユナイテッドの親会社でもあることから、両クラブの間ではすでに非公式ながら協議が始まっていると見られている。
昨シーズン、イサクは公式戦42試合で27ゴール6アシストを記録。プレミアリーグ屈指のストライカーとしての地位を確立した。サン・マクシマンの移籍以降、ニューカッスルの攻撃を一手に担ってきた彼に対し、アル・ヒラルはかねてより強い関心を示していた。
同クラブは当初、ナポリ所属のヴィクター・オシムヘンと合意寸前まで進んでいたが、同選手がトルコのガラタサライに完全移籍する方向となり、交渉は白紙に。続いてユヴェントスのドゥシャン・ヴラホヴィッチ、さらにはオーバメヤンの復帰にも動いたが、どれも実現には至らなかった。
そこで最終的にリストの最上位に躍り出たのが、イサクだった。アル・ヒラルにとって、移籍金の規模を見ても“本命中の本命”と捉えて間違いないだろう。
とはいえ、イサク側がすぐにゴーサインを出すかは未知数。移籍が前提というよりも、あくまで条件次第で検討可能というスタンスに近い。プレミアリーグの舞台で充実期を迎えている今、サウジ移籍がキャリアの選択肢としてどこまで現実味を帯びているのかは定かではない。
イサクの去就を見据え、ニューカッスルも対策へ
一方、ニューカッスルも手をこまねいてはいない。エディ・ハウ監督は、イサクに対する複数クラブからの関心を受け、水面下で後継者のリストアップに動いている。
その筆頭候補がブレントフォード所属のコンゴ代表FWヨアネ・ウィサだという。トニーの退団後のチームの前線を支え、得点だけでなく守備面でも評価を高めた。同選手にはトッテナムも関心を示しており、今夏のプレミア勢による争奪戦となる可能性もある。
イサクを手放すシナリオが現実のものとなった場合、ニューカッスルにとってウィッサ獲得は単なる補強ではなく、攻撃陣の生命線ともなるだろう。
このような一連の動きは、サウジ・プロリーグが欧州サッカーに与える影響力の拡大を改めて示すものだ。特にPIFによる複数クラブ所有という構造は、今後の移籍市場でも無視できない要素として語られ続けることになる。
果たしてアレクサンダー・イサクはこの夏、どのような決断を下すのか。そしてニューカッスルはその決断にどう備えるのか。