ヨーロッパの移籍市場が熱を帯びる中、スペインの名門レアル・マドリードが新たな中盤の軸としてチェルシー所属のアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスに関心を寄せている。中盤のマエストロとして長年チームを支えたトニ・クロースが引退して1年が過ぎ、その後継者探しを本格化させている。
スペイン紙『Fichajes』によれば、マドリードはフェルナンデスを数年間にわたり中盤を支配できる人材として高く評価しており、彼を軸とした新体制の構築を目指しているという。ただし、チェルシーが設定する価格は1億3000万ユーロと金額もあり、獲得へのハードルは非常に高い。
チェルシーは2023年にベンフィカからフェルナンデスをクラブ史上最高額で獲得しており、それ以下の価格での放出に応じる意思はないとされている。この金額は、マドリーにとっても簡単には動かせない規模だ。
3選手売却で資金捻出へ?カマヴィンガ、ロドリゴ、フラン・ガルシアに別れか
そんな中、マドリーはフェルナンデス獲得資金を捻出するために、今夏の移籍市場で複数選手の売却を検討している模様。クラブはエドゥアルド・カマヴィンガ、ロドリゴ、フラン・ガルシアの3選手を放出候補に挙げており、その売却総額は1億5000万ユーロに達すると見込まれている。
カマヴィンガは出場機会の減少に不満を抱えているとされ、ガルシアにはイタリアのACミランが興味を示している。一方でロドリゴには、プレミアリーグ勢が熱視線を送っている。特にリバプールはルイス・ディアスの後継候補としてブラジル人ウィンガーに注目しており、アーセナルも8000万ユーロに迫る金額での獲得に動く可能性がある。
シャビ・アロンソ監督はこの3選手を来季の構想に含めておらず、放出は既定路線のようだ。マドリーは、彼らを駒として動かしながら、フェルナンデス獲得という大胆な一手を狙っている。
マレスカ体制において、フェルナンデスは中心的な存在として位置付けられている。クラブ・ワールドカップでパリ・サンジェルマンを下した試合後には、同監督が彼の働きを称賛し、シーズンを通じて安定したパフォーマンスを見せていたことを評価していると語った。
中盤の複数ポジションをこなすフェルナンデスは、若手選手への的確な指示や試合の流れを読む力にも長けており、指揮官にとっては手放したくないピースだ。
また、クラブは今夏さらにスカッド強化を進めており、アストン・ヴィラのモーガン・ロジャース獲得にも動いている。ニコラス・ジャクソンとのトレード案を視野に入れているとされる。選手個々の関係性も強固であり、フェルナンデスの移籍に対して現場からの反発も小さくはない。
移籍市場とは、時に意外な展開を見せるチェスゲームのようなものだ。マドリードが駒を進めるたびに、チェルシーはそれを迎え撃つ形でカウンターを準備する。果たしてこの攻防戦の行方はどうなるのか。今後の展開に注目が集まる。