トッテナム・ホットスパーに所属するブラジル代表FWリシャルリソンに対し、母国の名門パルメイラスが巨額の移籍金を準備しているとの報道が浮上した。マテウス・フェリペ記者によれば、提示された金額はおよそ5500万ポンド。ブラジル国内クラブとしては異例ともいえる高額オファーとなっており、南米サッカー界のみならず欧州全体に波紋を広げている。
リシャルリソンは2022年夏、エヴァートンからトッテナムへ移籍。当時の移籍金は6500万ポンドとされ、クラブにとっては将来のエースとして多くを託された存在だった。
しかしながら、度重なる負傷やシステムへの適応の難しさもあり、期待されたインパクトを継続的に示すには至っていない。2024-25シーズンも序盤から負傷離脱が続き、プレミアリーグでの存在感は限定的なものとなっていた。
今回の報道が事実であれば、パルメイラスが提示した5500万ポンドという金額は、スパーズ側の投資額を下回るものであり、帳簿上では1000万ポンド規模の損失となる可能性がある。とはいえ、トッテナム側が今後のチーム編成や給与バランスを見直す上では、損切りを含む現実的な判断を下すことも十分に考えられる。
ブラジル復帰で再起図るか、リシャルリソンのキャリアは分岐点へ
パルメイラスは近年、ブラジル全国選手権および南米王者を決するコパ・リベルタドーレスで安定した成績を残しており、国内外から注目を集めるクラブに成長した。リシャルリソンのようなブラジル代表経験者を本格的に呼び戻す意欲を見せるあたり、クラブとしての野心は明らかだ。
欧州から南米への“逆輸入”となれば、リシャルリソンにとってはプレッシャーから一歩距離を置きつつ、自国のファンの前で再び輝きを取り戻す絶好の機会となる。
母国復帰を選ぶ選手は少なくないが、5500万ポンドという投資はその中でも異例であり、ブラジル国内クラブが国際的な移籍市場で一定の影響力を持ち始めたことを示す一例ともいえる。
現時点では、移籍はあくまで「関心」レベルにとどまっており、正式なオファーや選手本人の意向については明らかにされていない。それでも、南米からの大規模なオファーは、今夏の移籍市場における動向に新たな注目点を加える形となった。
リシャルリソンは母国のピッチで再起を図るのか。かつてブラジルの未来を担うと思われていたストライカーの未来やいかに。