今夏の移籍市場で、マンチェスター・ユナイテッドが新たなゴールキーパーの補強に向けて動き出している。すでにブレントフォードからブライアン・ムベウモを7,100万ポンドで獲得し、長らく交渉にあたっていた取引を成功させた同クラブだが、次なるターゲットはゴールマウスの強化。
狙いを定めたのは、アストン・ヴィラに所属するアルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネス。カタールW杯を制した名守護神には、リオネル・メッシが世界最高と太鼓判を押しており、その実力は折り紙付きだ。
英『Daily Mail』によると、ユナイテッドはマルティネス獲得に向けて最初の打診を行ったが、そのオファーはローン移籍から完全移籍へ移行するプランだった。これに対し、ヴィラ側は強い不信感を抱き、即座に拒否。財政的リスクを抱えながらも、チームの要を無償で放出するつもりはないという明確な姿勢を示している。
マルティネスは昨年、2029年までの長期契約にサインしており、クラブとしても主軸の一人を手放す気配はない。ウナイ・エメリ監督のもとでチャンピオンズリーグでも戦い、ヴィラにとって、今や彼は不可欠な存在であり、ユナイテッドからの「大胆な」オファーは、現実味に乏しいと判断された。
スワップディールの可能性と、交渉の行方に注目集まる
それでも、マルティネスの移籍をめぐる噂は絶えない。昨季のホーム最終戦では涙を見せる場面もあり、去就に関する憶測が過熱している。そんな中、移籍情報を扱うファブリツィオ・ロマーノ氏が、ユナイテッドがスワップディールによって交渉を進める可能性を報じた。
アントニーやサンチョといった高額年俸を抱えるユナイテッドは、マテウス・クーニャやムベウモの獲得で既に多額の資金を投じており、現金での追加補強は難しい状況にある。そのため、ヴィラの関心を引く選手を含めた交換トレードが検討されているようだ。
ただし、現時点で両クラブ間に具体的な交渉は始まっておらず、正式なアプローチもないという。それでも、マルティネス自身がオールド・トラッフォード行きに前向きであることが、内部の議論を加速させているという報道もある。
アストン・ヴィラ側は、マルティネスの放出に対して4,000万ポンドという明確な評価額を設定しており、ユナイテッドがオナナを売却しない限り、現金での獲得は困難とみられている。果たして、両者の思惑が交差する中で、スワップディールが現実味を帯びてくるのか注目が集まる。
マルティネスとオナナのプレミアリーグにおける2024-25シーズンのパフォーマンス比較も、ユナイテッドの最終判断に影響を与えるだろう。最終ラインの安定と勝ち点3をもぎ取る試合終盤のセービング力。その差が、タイトル争いの明暗を分ける可能性もある。
マンチェスター・ユナイテッドとアストン・ヴィラの駆け引きはまだ始まったばかり。鍵を握るのは、選手本人の意志と、クラブ間の創造的な交渉術なのかもしれない。