静かなる熱狂が渦巻くシティ・グラウンド。ノッティンガム・フォレストは今、クラブの根幹を揺るがす重大な岐路に立たされている。
昨季、プレミアリーグ残留を果たしたチームにおいて、最も創造性とスピードを兼ね備えたキープレーヤーだったアンソニー・エランガが、ニューカッスル・ユナイテッドへ約5,500万ポンドで電撃移籍。この痛すぎる損失を受けて、フォレストは攻撃陣の再構築に迫られている。
その中核を担うと目されるのが、ボローニャ所属のスイス代表FWダン・エンドイェ。2024/25シーズン、セリエAで印象的な活躍を見せたンドイェは、全公式戦で9ゴール6アシストを記録。単なるウイングではない。右でも左でも、さらにはセカンドストライカーとしても機能する多才なスピードスターだ。
ヌーノ・エスピリト・サント監督が求める柔軟性と突破力を兼ね備える選手として、フォレストはエンドイェと個人条件で既に合意。だが交渉の本丸である移籍金において、難航している。
イタリア紙『Corriere dello Sport』の報道によれば、ボローニャは約3,900万ポンドを要求しているのに対し、フォレスト側の提示額は2,600万ポンドを上回るオファーを提示しておらず、両者間には依然として評価額に大きな隔たりが存在する。
加えて、セリエA王者ナポリまでもがボーナス込み3,500万ポンドの買い取りオプション付きレンタルを提示したが、ボローニャにとっては不十分だった。移籍市場は熾烈な駆け引きの場であり、ンドイェの獲得レースは依然として不透明だ。
ギブス=ホワイトはトッテナムへ行くのか?
もう一つ、フォレストが直面しているのが、チームの精神的支柱ともいえるモーガン・ギブス=ホワイトの去就問題。昨季、彼はクラブの攻撃におけるキープレーヤーとして機能し続けた。中盤から前線へのリンク、巧みなターン、そして創造性。数字には表れないプレーが、フォレストに流れを呼び込んだ。
しかし、トッテナム・ホットスパーが一時はクラブ間合意に達し、獲得を成立させたかに思われたものの、選手側に不適切な行為があったとしてフォレストは法的措置に出る可能性も示唆しており、移籍が実現するかどうか曖昧。
とはいえ、選手自身はプレシーズンに参加しながらも心はすでにホワイト・ハート・レーンにあると見られ、クラブ間での早期解決が求められる。
フォレストとしても、不満を抱える選手を残すことは得策ではなく、できる限り高額で売却し、そこから得られる資金を再投資する方針を固めているといも言われている。
エランガに続いてギブス=ホワイトまでもが去るとなれば、攻撃陣の再構築どころか、全面的な刷新が必要となる。すでにイゴール・ジェズスとジャイール・クーニャの2選手を加えたが、エンドイェの獲得なくしては埋まらない穴がある。
今をどう乗り越えるかが、来季以降のフォレストの在り方を決定づけるだろう。買えなかったのか、買わなかったのか。その結果が、ピッチにすべてを映し出す。