ベティスで復活の狼煙、アル・ナスルで輝けるか?揺れるアントニーのキャリアはどこに

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25歳。サイドラインを切り裂くスピードと技巧を武器に、かつて“ネイマール2世”の異名を取ったブラジルの俊英アントニー。その名が再び注目を集めているのは、華やかなゴールやドリブルではなく、移籍市場の渦中に身を置いているからだ。

アル・ナスルが提示したオファーは、彼にとってキャリアを再起させる最後のチャンスになるのか、それとも“終わりの始まり”を意味するのか。

移籍市場の情報通であるFabrizio Romano氏が報じたところによれば、サウジ・プロリーグの強豪アル・ナスルがマンチェスター・ユナイテッド所属のアントニーに対して正式なオファーを行ったようだ。

クリスティアーノ・ロナウド、サディオ・マネ、そして今夏加入が噂されるジョアン・フェリックスと並ぶ形で、アントニーが攻撃陣の一翼を担う構想が練られている。かつてヨーロッパのエリートクラブを次々と魅了したアントニーだが、プレミアリーグの舞台では十分な輝きを放てなかった。

マンチェスター・ユナイテッドでの“失敗作”というレッテル

アヤックス時代、アントニーは卓越した左足のボールコントロールと、狭いスペースを切り裂くドリブルでオランダリーグを席巻した。2022年、彼を重用してきたエリック・テン・ハフ監督とともに、約9500万ユーロという破格の移籍金でマンチェスター・ユナイテッドに加入。プレミアリーグのフィジカルとスピードにすぐに適応できるかと期待されたが、現実は厳しかった。

2シーズン半で記録したのはわずか12ゴール5アシスト。ドリブル成功率やキーパス数など、ウィンガーとしての数値もリーグ平均を下回る場面が目立ち、批判の矢面に立ち続けた。攻撃の局面で自己中心的なプレーが目立ち、戦術理解度の低さも指摘された。

2023-24シーズン後半、アントニーはラ・リーガのレアル・ベティスにレンタル移籍。新天地ではプレッシャーから解き放たれたかのように、本来の姿を取り戻していく。26試合で9ゴール5アシスト。

特に左サイドからカットインし、中央でフィニッシュを迎えるプレーはラ・リーガでも屈指の破壊力を見せた。守備への献身も増し、プレーの選択に落ち着きが見られるようになったことは注目に値する。

この好調が、アル・ナスルの目に留まった。サウジ・プロリーグは現在、世界中のスター選手を資金力で引き寄せており、ロナウドやマネといった名手に続く形でアントニーもそのプロジェクトに加わる可能性が高まっている。クラブの財政健全化、そして若返りを含めたチーム再建には、アントニーの売却による資金回収が重要な鍵を握る。

アントニーの未来はどこに向かうのか

ここで問われるのは、アントニー自身の意思だ。まだ20代中盤。ヨーロッパのトップレベルで再び勝負することも可能な年齢である一方、サウジでの確実な出場機会、経済的報酬、そしてメディアの過度な注目から距離を置ける環境は、彼にとって再生の土壌となるかもしれない。

彼のプレースタイルは、ある意味で“自由奔放”である。ピッチ上でインスピレーションを重視するタイプの選手にとって、戦術的規律やプレッシャーが強いプレミアリーグよりも、自由度の高いリーグの方が能力を発揮しやすいという分析もある。

ただし、サウジプロリーグという選択が、キャリアのステップアップではなくセーフティネットとして捉えられてしまうリスクも孕む。ここで再び輝けなければ、もうヨーロッパのトップクラブから声がかかることはないだろう。

アントニーは、岐路に立っている。かつて未来のブラジル代表の主軸とまで呼ばれた男は、果たして自らの手で運命を切り拓くことができるのか。