エミレーツ・スタジアムに響く歓声の裏で、ひとりのブラジル人ストライカーを巡る動きが加速している。ガブリエル・ジェズスに対して、複数のクラブが関心を示しており、この夏の移籍マーケットでの退団が噂されている。
英『CaughtOffside』の最新報道によると、アーセナルの28歳のストライカーに対して、欧州の名門クラブたちが水面下で熱視線を送っているようだ。バルセロナ、ACミラン、ニューカッスル・ユナイテッド、トッテナム・ホットスパー、そしてインテル・ミラノ…これらのビッグクラブがジェズスの動向を追っている状況は、まさに移籍市場の醍醐味と言える。
しかし、この争奪戦には大きな影が落ちている。深刻な膝の負傷からの回復状況が、全ての交渉の鍵を握っているのだ。各クラブは正式なオファーを控え、彼のメディカルチェックの結果を固唾を呑んで待っている。
欧州5強が描くジェズス獲得プラン
バルセロナの関心は特に興味深い。カタルーニャの巨人は現在、ロベルト・レヴァンドフスキ後の移行期間を見据えた戦略を練っており、ジェズスはその中核を担う存在として浮上している。36歳のポーランド人ストライカーの後継者として、まだ28歳のブラジル人が持つポテンシャルは魅力的に映るはずだ。
一方、ニューカッスル・ユナイテッドにとってジェズスは、攻撃陣の層の厚さを強化する理想的な選択肢となる。特にアレクサンデル・イサクの去就が不透明な中、ジェズスが持つ創造性と予測不能性は、エディ・ハウ監督の戦術に新たな次元をもたらすことだろう。マグパイズの野心的なプロジェクトにとって、実績あるストライカーの獲得は急務と言える。
最も驚きを呼ぶのは、トッテナム・ホットスパーの関心だろう。北ロンドンダービーのライバル関係を考えれば、アーセナルからスパーズへの移籍は確かに衝撃的だ。しかし、リシャルリソンやソン・フンミンの退団が噂される中、攻撃陣の補強は避けられない課題となっている。
ブラジル本国からも熱視線が注がれている。パルメイラスとフラメンゴという二大クラブが、元ブラジル代表の帰国を虎視眈々と狙っている。ヨーロッパでの挑戦に区切りをつけ、母国での新たなキャリアを歩む選択肢も、ジェズスにとって魅力的に映るかもしれない。
負傷の後遺症が生む駆け引き
しかし、この争奪戦の最大の焦点は、ジェズス自身のフィジカルコンディションにある。深刻な膝の負傷の後遺症が、各クラブを慎重にさせているのが現状。アーセナル移籍後、96試合で26ゴールという記録は決して悪くないが、かつてマンチェスター・シティで見せた輝きには及ばない。
移籍市場の権威であるファブリツィオ・ロマーノ氏をはじめとする専門家たちも、ジェズスが完全にフィットするまで、各クラブが様子見を続けると予想している。この状況が続けば、夏の移籍市場ではなく、来年1月のウィンターマーケットでの動きがより現実的なシナリオとなりそうだ。
興味深いのは、アーセナル側の姿勢。クラブは適切な価格であれば売却に応じる用意があると見られており、ファンの間でも「適切な価格で売却する用意がある」という声が上がっている。ミケル・アルテタ監督のもとでタイトル争いを続けるガナーズにとって、より確実性の高いストライカーへの投資が必要なのかもしれない。
各クラブの交渉が本格化するのは、ジェズスのメディカルチェックの結果が明らかになってからとなるだろう。彼の市場価値と給与の期待値が、最終的な取引を形成する重要な要素となる。現時点では公式な金銭的条件は開示されていないが、プレミアリーグ経験を持つブラジル代表選手の価値は決して安くはないはずだ。
ガブリエル・ジェズスという才能あふれるストライカーを巡る争奪戦は、まさにこれから本番を迎える。彼の完全復活が確認された時、欧州サッカー界に新たな移籍劇場の幕が上がることになるだろう。