アストン・ヴィラがRBライプツィヒのロイス・オペンダ獲得に向けて、数ヶ月にわたる水面下の交渉を継続していることが、ベルギー人ジャーナリストのサシャ・タヴィオエリ氏の報道により明らかになった。ウナイ・エメリ監督が描く戦術的ジグソーパズルの最後のピースとして、この25歳のベルギー代表ストライカーが浮上している。
オペンダという名の万能兵器が持つ破壊力
両クラブ間で相互の関心が確認されており、オペンダ自身もエメリ監督の下でヴィラ・パークでプレーする機会を歓迎しているという状況は、まさに運命的な邂逅を予感させる。オペンタのプレースタイルを紐解けば、エメリが求める理想的なフォワード像が浮かび上がってくる。
このベルギー人ストライカーは、汎用性と鋭い本能を兼ね備えた現代サッカーの申し子とも言える存在だ。2023-24シーズンにはブンデスリーガで28ゴール7アシストという圧倒的な数字を残し、ライプツィヒの攻撃陣を牽引した。
しかし昨季は13ゴール11アシストと前年ほどのゴール数は残せていないものの、むしろアシスト数の増加が示すのは、彼の創造性とチームプレーへの理解の深化である。
オペンダの真骨頂は、その多面性にある。両足と頭でのフィニッシュ能力に加え、素早いトランジションでの切れ味は、プレミアリーグの激しいテンポに完璧に適合する。前からのプレスをかける際の効果性も、エメリの戦術システムにおいて重要な要素となるだろう。
ボックス周辺での巧妙なパスや動きでチームメイトにチャンスを提供する創造性は、オリー・ワトキンスとは異なる新たな攻撃オプションをヴィラにもたらす可能性を秘めている。
5000万ユーロの賭けが開く新たな地平
移籍実現への最大のハードルは、『Transfermarkt』が算出する5000万ユーロという評価額。この金額は、アストン・ヴィラの財政状況を考慮すれば決して軽い投資ではない。選手売却による資金調達が前提条件となる可能性が高く、ジェイコブ・ラムジーのノッティンガム・フォレストへの移籍やレオン・ベイリーのフェネルバフチェへの移籍が、オペンダ獲得の鍵を握っている。
エメリ監督は昨季のヨーロッパリーグ出場権獲得を受け、チームの層を厚くすることに並々ならぬ意欲を見せている。オペンダの獲得は、単なる戦力補強を超えた戦略的な投資と位置づけられる。プレミアリーグとヨーロッパリーグの二正面作戦を戦い抜くためには、ワトキンスに依存しきった現在の攻撃陣では限界があることは明らかだ。
注目すべきは、ヴィラがマンチェスター・ユナイテッドからワトキンスの売却要求を拒否したという事実である。これは、オペンダを獲得してもワトキンスとの共存を図る意図を示唆している。2人のストライカーが持つ異なる特性を活用することで、エメリはより柔軟で予測不可能な攻撃システムを構築できるはずだ。
オペンダ本人がライプツィヒを離れることに前向きな姿勢を示しているとも報じられており、これはアストン・ヴィラにとっては移籍実現への明るい材料だろう。
ヴィラ・パークに新たな歴史を刻もうとするエメリの野望と、プレミアリーグという最高峰の舞台で自身の価値を証明したいオペンダの想い。この2つのベクトルが交差する時、バーミンガムで新たな攻撃タッグが形成されるかもしれない