プレミアリーグのエヴァートンがウイングポジションの強化に動いている。先日にはオリンピック・リヨンに所属するベルギー代表FWマリック・フォファナにオファーを提示したとの報道も流れたが、選手側がもっと上位にチームからの誘いを待っているとも伝えられている。
そこで代替候補として、スペインのラ・リーガで実力を証明し続ける日本代表MF久保建英が浮上した。移籍市場に精通するファブリツィオ・ロマーノ氏によれば、クラブはレアル・ソシエダ所属の久保に対し、すでに獲得の可能性について問い合わせを行ったとようだ。
2025年夏、エヴァートンが補強の最優先事項に掲げたのはウィンガー。前線のオプション不足は顕著で、昨季はジャック・ハリソンとイェスパー・リンドストロムがレンタルで穴を埋めたものの、両者はすでにクラブを離れた。
残されたのは、慣れないポジションで奮闘するドワイト・マクニールやイリマン・エンジアイ。いずれも自然なウィンガーとは言い難く、新シーズンを戦い抜くには、スペシャリストの補強が不可欠となっていた。
そうした状況下で浮上したのが久保建英の名前だ。ロマーノ氏がX(旧Twitter)で報じた通り、エヴァートンはレアル・ソシエダに対して正式な問い合わせを行っており、その動きは水面下の関心ではなく、現実的なアプローチとして位置づけられている。
エヴァートンはこの夏、マーク・トラヴァース、アダム・アズヌ、ティエルノ・バリーと3選手を獲得済み。積極的な補強を実施するエヴァートンだが、その動きを弱めるつもりはなさそうだ。
デイヴィッド・モイーズ監督は、開幕を前に「結果に直結する補強」を求めており、久保はまさにその条件を満たす人材としてリストアップされている。なお、フォファナのような将来性よりも、久保のような即戦力を確保することが、今のエヴァートンにとっては急務とも言われ、日本代表に白羽の矢が立つ可能性が高まっている。
ラ・リーガでの出場は36試合と、ソシエダの主力として君臨。5ゴールはチーム内2位であり、キーパス(1.3回/試合)、シュート数(1.2回/試合)でも上位にランクイン。中でも目を引くのがドリブル成功数(2.1回/試合)で、これはチーム1位を記録した。『WhoScored.com』が算出するマッチレーティングでも6.77と、安定したパフォーマンスを維持している。
これらの数字は、久保がチームの中で何かを起こせる存在であることを示している。加えて、バルセロナやレアル・マドリード、マジョルカ、ビジャレアルと、スペイン国内の多様な環境を経験してきた彼は、戦術理解度と順応力においても並外れたポテンシャルを持つ。
プレミアリーグは、フィジカルの強度とスピードが際立つリーグだ。だが久保は、単なるテクニシャンではない。対人戦でも粘り強さを見せ、狭いエリアでのターンやポジショニングの良さは、プレミアの激流にも埋もれない武器となる。
エヴァートンであれば、彼は右ウィングのポジションを即座に確保できる可能性が高く、攻撃の起点として大きな役割を担うだろう。守備面のタスクも求められるが、モイーズ監督のもとでなら、バランスの取れたアタッカーとして更なる進化も期待できる。
これまでもイングランド行きの噂が持ち上がっても、スペインに残留してきた久保。この夏にはマルティン・スビメンディがアーセナルに加入するなど、同僚のプレミアリーグ移籍が触発する可能性もあるが、はたして今回の報道は真実になるのか。