ベルギー産の無骨な守備職人が、欧州の移籍市場で熱視線を浴びている。イタリア・ジェノアに所属するコニ・デ・ウィンターが、ボーンマスとインテルから同時に関心を寄せられているという報道が浮上し、その存在感が一気に高まりつつある。
移籍市場に精通するファブリツィオ・ロマーノ氏によれば、いずれのクラブも近い将来のディフェンスライン再編を見据えて、デ・ウィンターを“次の柱”として本格的にリストアップしている。
インテルが先手、しかし補強には条件付き
イタリアの名門インテル・ミラノは、すでにジェノア側と一定の交渉を重ねているとされる。ディフェンス陣の厚みを増す上で、デ・ウィンターは将来性と現在の実力を兼ね備えた魅力的な存在だ。2024-25シーズンにおいて、ジェノアでリーグ戦25試合に出場した同選手は、対人守備とラインコントロールにおいて高い安定感を示した。
しかし、インテルの補強は既存のセンターバックの放出が前提条件となっており、例えばステファン・デ・フライやフランチェスコ・アチェルビの去就がその鍵を握ると見られている。現時点では獲得レースの先手を取っているものの、動き出しにはまだ制限がある。
戦術面でも、インテルの3バックにおいてはデ・ウィンターの対人の強さとライン裏のカバー能力が理想的に活かされるだろう。特に3-5-2の右ストッパーとしては、スピードと読みを活かしたボール奪取が求められる。
ユヴェントス下部組織で育ち、イタリア的守備哲学を身に染み込ませてきた彼にとって、理にかなったステップアップとも言える。
ボーンマスの視線、ザバルニィ退団を想定した布石か
一方、プレミアリーグのボーンマスもデ・ウィンターに注目しており、その背景には主力CBのイリヤ・ザバルニィの将来的な退団があるとされている。
21歳のザバルニィはパリ・サンジェルマンがアプローチを強めており、選手本人もフランス行きを希望していると言われ、今夏の移籍市場での動きも想定される。その穴を埋める存在として、イタリアで経験を積み、ボール保持にも長けたデ・ウィンターが有力候補に浮上したという構図だ。
プレミアリーグの速く激しいテンポに順応できるかは未知数ではあるが、空中戦の強さやポジショニングの冷静さは、英国の環境でも十分に通用するはずだ。
特に、ボーンマスの守備スタイルにおいては、対人守備の強さだけでなく、後方からのビルドアップ能力が求められる。その点で、デ・ウィンターは既にセリエAで3バックと4バックの両方を経験しており、戦術的柔軟性を持つ守備者として魅力は大きい。
キャリアの転換点に立つデ・ウィンター
ジェノアで台頭したデ・ウィンターだが、そのキャリアは順風満帆だったわけではない。ユヴェントスのトップチームに定着できず、ローン移籍を経てようやく出場機会を得た背景には、ハングリーさと成長意欲があった。2023-24シーズンにはパス成功率85%を記録し、守備だけでなくビルドアップ面でも信頼を得た。
23歳という年齢を考えれば、次のステップは単なる移籍ではない。インテルのようなビッグクラブで競争に身を置くか、あるいはプレミアリーグという未知の舞台で新たな可能性に賭けるか。いずれにせよ、今夏の選択が今後数年間のキャリアを大きく左右することになる。