ジェイドン・サンチョが再三にわたってボルシア・ドルトムントのユニフォームに袖を通す日が近づいている。3度目となる古巣復帰に向けて、また自身の価値を取り戻すために、年俸を半減させるという現実を受け入れていると、ドイツ紙『BILD』が伝えた。
イングランドのマンチェスター・ユナイテッドやチェルシーでの不完全燃焼、そしてかつて輝いたドルトムントでの再生。キャリアの交差点に立つサンチョが、ふたたび選ぶのは「心が帰る場所」だ。
年俸50%減でも望む復帰…サンチョが見つめる“真の価値”
サンチョは現在のマンチェスター・ユナイテッドでの年俸1600万ユーロから、およそ800万ユーロへの減給を自ら受け入れようとしている。ドルトムントに戻るための代償としては、決して小さくない。それでも彼は、それだけの価値があると確信している。
この800万ユーロという金額は、ドルトムントのチーム内でもトップクラスの水準に達する。だが、彼の意思を支えているのは、金銭的なバランスではない。マンチェスター・ユナイテッドでの厳しい時間を経て、再び自信を取り戻したいという、強い意志。
2024年前半にレンタルでBVBに戻った際、彼はすぐさま違いを生み出し、チャンピオンズリーグ決勝までチームを導いた。わずか数ヶ月の短期的な復帰期間でありながら、その存在感は確かに記憶に刻まれている。
キャリアの軌跡が示す“ドルトムントという運命”
サンチョとドルトムントの関係は、単なるクラブと選手の関係にとどまらない。2017年にマンチェスター・シティを離れ、17歳で海を渡った少年は、BVBで世界的な存在へと飛躍を遂げた。21歳で8500万ユーロの移籍金を手にプレミアリーグへ渡った彼にとって、ドルトムントはただの通過点ではなく、成長と栄光の原点だった。
しかし、ユナイテッドではその輝きを持続できなかった。戦術との不一致、出場機会の減少、そしてエリック・テン・ハフ監督との不和。プレーする場を失った彼にとって、再び自身を証明する場所が必要だった。そこで浮かび上がったのが、かつてのホームだった。
2024年春に実現したレンタル移籍では、かつてと変わらぬフレアと創造性を披露し、サポーターからも温かく迎えられた。とりわけチャンピオンズリーグでのパフォーマンスは、彼の“復活”を告げるにふさわしいものだった。ボールを受けた瞬間にスタジアムの空気を変えるあの感覚。それは、彼がBVBでしか見せられない輝きだった。
今回の移籍が実現すれば、サンチョにとっては通算3度目のドルトムント加入となる。だが、そこに過去の栄光にすがるような気配はない。むしろ彼は、自らのキャリアにけじめをつけ、再び上昇気流に乗せるためにこの道を選んでいる。
ドルトムントにとっても、サンチョの再加入は「攻撃オプションの強化」という明確な意図をもって準備されている。クラブは引き続き彼と接触を持ち続け、リストの上位に彼の名を置き続けているという報道も。
マンチェスター・ユナイテッドでの未来は、いまだ霧の中にある。しかし、クラブ側は構想外の姿勢を崩しておらず、イタリア移籍の噂も飛び交う中、サンチョの未来はどこにあるのか。