アレクサンデル・イサクを失ってでも、欧州の頂を掴む。それが、いまのニューカッスル・ユナイテッドの覚悟だ。1億7500万ユーロとも報じられるイサク売却益を想定して、彼らが真っ先に名指ししたのは、インテル・ミラノの司令塔ニコロ・バレッラであると、スペイン紙『Fichajes』が報じた。
これまで数十年にわたり、タイトルに縁遠かったクラブが、再び欧州の舞台で上位を狙う。その野心の象徴がバレッラという男であり、ミッドフィールドの中核に据えられることを前提とした大胆なプロジェクトが水面下で動き出している。
ニューカッスル、イサク売却でバレッラ獲得を画策
イングランド北東部に拠点を構えるニューカッスルは、ここ数年で急速に変貌を遂げてきた。サウジアラビア資本による買収後、積極的な補強でプレミアリーグ上位に食い込んできたが、真の意味でトップクラブと呼ばれるには、もう一段の飛躍が求められる。
その鍵を握るのが、FWアレクサンデル・イサクの去就だ。スウェーデン代表としても活躍するストライカーは、リバプールが1億7500万ユーロという巨額の移籍金での獲得に迫っていると報じられており、その交渉が成立すれば、ニューカッスルは大きなキャッシュフローを得ることになる。
この資金を再投資する最優先ターゲットとして、クラブが据えているのがニコロ・バレッラ。インテル・ミラノとイタリア代表で中心的役割を果たす28歳のMFは、すでにセリエA制覇やユーロ2020制覇を経験しており、年齢的にも即戦力として理想的なタイミングにある。
バレッラは、エディ・ハウ監督が求める高強度のシステムにも適応可能とされており、攻守両面での献身性と、テンポを掌握する司令塔としての能力は、今のニューカッスルに不足しているピースを完璧に補完する。
バレッラ加入が意味する質的飛躍とチーム再構築
現在のニューカッスルには、ブルーノ・ギマランイスやサンドロ・トナーリといったタレントが名を連ねるが、その中でバレッラが果たす役割は補完ではなく中心だ。同選手はギマランイス、トナーリとともに三頭体制を築くと目されている。
この中盤は、単に走力とテクニックを兼ね備えているだけでなく、試合の流れを読み取り、必要に応じてギアを変えられる戦術的な知性が最大の特徴となる。とりわけバレッラは、トランジション局面における迅速な判断と、相手のラインを切り裂くような縦パスに定評がある。これは、ハウ監督が構築する攻守一体のスタイルにおいて、極めて重要な役割を果たす要素だ。
さらに、バレッラは若手主体のスカッドに経験と勝者のメンタリティをもたらす存在でもある。シェシュコやインカピエといった将来性豊かな選手たちの獲得も同時進行で進められているが、バレッラの加入はインパクトを与える補強になり得る。
チャンピオンズリーグでの戦いを視野に入れ強化を進める中で、バレッラのような即戦力かつリーダータイプの選手の存在は不可欠。実績のある勝者を迎え入れることで、ニューカッスルは試合ごとのテンポだけでなく、シーズンを通しての勝ち方を学び取ることができる。
アレクサンデル・イサクという高額資産を手放す代償としては物足りない印象だが、イタリア代表でも実績のあるミッドフィルダーはさらなる上積みとなることは間違いない。
イタリアからイングランドへ、そしてサン・シーロからセント・ジェームズ・パークへとステップアップをと遂げるのか。