シャビ・アロンソ新監督の改革が進むサンティアゴ・ベルナベウで、再び中盤の構造が揺れている。2025年夏の移籍市場、レアル・マドリードの新指揮官が注目するのは、19歳のイングランド人、コビー・メイヌー。
だが、クラブ内の評価は一枚岩ではない。シャビ・アロンソが強い意欲を示す一方で、フロレンティーノ・ペレス会長をはじめとする上層部は、即座の獲得に対し慎重な姿勢を崩していない。クラブの未来を巡る意見の衝突は、いまや市場の水面下で激しく交差していると、スペイン紙『Defensa Central』が報じた。
コビー・メイヌー獲得に揺れるレアル・マドリード
マンチェスター・ユナイテッドの逸材、コビー・メイヌーは昨季プレミアリーグで25試合に出場し、1,666分をプレーした。しかし得点とアシストはともにゼロ。xGは約0.77、xAは約1.79と、攻撃への寄与は限定的だった。パス成功率は87.4%、インターセプト19回、タックル成功率63%と、守備性やビルドアップ面で一定の存在感を示したものの、目立ったプレーは少なかった。
このように、若さゆえの伸びしろは感じさせるものの、シャビ・アロンソ監督が求める「トニ・クロース級の支配力」を即座に期待するには、昨季の実績はやや寂しい。
とはいえ、非凡なポテンシャルを有する若き才能に注目したのが、2025年夏に監督就任を果たしたシャビ・アロンソだ。自身もかつてレアルで司令塔を担った名手は、メイヌーにクロースの後継者としての資質を見出している。さらに、同じくプレミアで台頭するクリスタル・パレスMFアダム・ウォートンにも関心を寄せており、両者の獲得を移籍戦略の柱に据えようとしている。
しかし、クラブ全体がアロンソのビジョンに追随しているわけではない。スカウト部門はメイヌーとウォートンに対して「ヨーロッパのエリートとしては時期尚早」と判断しており、今夏の即時獲得には難色を示しているという。フロレンティーノ・ペレス会長も、この慎重な姿勢を支持しており、いまのところ両選手への正式オファーは見送られている。
マンチェスター・ユナイテッドの思惑と選手の去就
一方で、メイヌーの現所属クラブであるマンチェスター・ユナイテッドも、黙ってその動向を見守っているわけではない。今年3月には契約延長交渉の停滞が報じられ、7000万ポンドでの売却説も流れたが、クラブのスタンスは変化した。
ルベン・アモリム監督は、メイヌーをチームの中核と位置付けており、今後数シーズンをかけてその能力をさらに引き出す方針を明確に打ち出している。ユナイテッドはメイヌーの売却を完全に否定し、トッテナム・ホットスパーからの問い合わせにも「非売品」として対応したという。
こうした背景を踏まえると、レアル・マドリードがメイヌーを今夏獲得するシナリオは、現実味を欠く。だが、これはあくまでも現時点での話。アロンソ監督は長期的な視点でスカウティング体制を強化する意向を示しており、今後も継続的に両選手のパフォーマンスを追跡する可能性は極めて高い。
なお、レアルはすでにディーン・ハイセン、アルバロ・カレラス、フランコ・マスタンツオーノらの将来有望な若手を確保しており、中長期的なチーム再編の青写真は着実に進行中だ。その中で、メイヌーの名前がリストの上位に位置していることは間違いない。