トルコの黄紺軍団が、イングランドでプレーする中盤の支配者に熱視線を送っている。ジョゼ・モウリーニョ監督率いるフェネルバフチェが、トッテナム・ホットスパーのウルグアイ代表ミッドフィールダー、ロドリゴ・ベンタンクールの獲得に向けて本格的に動き出した。
トルコメディア『Fotomac』が報じたところによると、クラブは間もなく選手の代理人との交渉に乗り出す予定だという。
この動きは、モウリーニョ監督が提出した戦術レポートに基づく中盤強化策の一環だ。昨季はソフィアン・アムラバトのパフォーマンスが期待を下回る結果に終わったことを受け、フレッジとのコンビ結成を目指すフェネルバフチェは、より高いレベルの選手獲得に舵を切った。
モウリーニョが描く中盤革命の設計図
特別な監督には、特別な選手が必要だ。今夏の移籍市場で最も活発な動きを見せているフェネルバフチェにとって、中盤の補強は喫緊の課題となっている。テクニカルディレクターを兼任するモウリーニョの戦術構想では、ボール奪取からゲームメイクまでをこなせる万能型ミッドフィールダーの存在が不可欠とされている。
ベンタンクールは、まさにその条件を満たす逸材だ。2022年にユベントスから1900万ユーロでトッテナムに移籍した28歳は、守備的ミッドフィールダーとしての安定感に加え、前線への的確なパス供給能力を併せ持つ。アルゼンチンの名門ボカ・ジュニアーズの下部組織で育った技術力は、トルコリーグの厳しい戦いにも十分対応できるはずだ。
今季のプレミアリーグでは26試合に出場し2ゴールを記録しているベンタンクールだが、人種差別発言による出場停止処分を受けた過去もあり、トッテナム内での立場は微妙な状況にある。フェネルバフチェはこの状況を好機と捉え、早期の交渉開始を決断した。
フェネルバフチェの経営陣は、まだ公式なアプローチは行っていないものの、近日中にトッテナムとベンタンクールの代理人双方との会談を予定している。クラブは契約満了が迫る選手の状況を最大限活用し、通常よりも有利な条件での獲得を目指している。
契約満了を武器にした戦略的アプローチ
市場価値3000万ユーロと評価されるベンタンクールだが、トッテナムとの契約が今シーズン末に満了することが、フェネルバフチェにとって最大の追い風となっている。通常であれば高額な移籍金が必要な選手を、大幅に削減された金額で獲得できる可能性が高まっているのだ。
この戦略的タイミングは、限られた予算内で最大限の戦力強化を図りたいフェネルバフチェにとって理想的なシナリオといえる。トルコリーグとヨーロッパカップ戦での戦いを考慮すれば、豊富な経験を持つベンタンクールの加入は、チーム全体のレベルアップに直結する投資となるだろう。
モウリーニョ監督は過去にも、契約満了間近の選手を効果的に活用してきた実績を持つ。今回のベンタンクール獲得も、監督の巧みな人事戦略の一環として位置づけられる。選手にとっても、新天地での挑戦と安定したポジションの確保という魅力的な条件が揃っている。
ウルグアイ代表として国際経験も豊富なベンタンクールは、フェネルバフチェが目指すヨーロッパでの成功において重要な役割を果たすことが期待される。特に、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグでの戦いでは、彼のような経験豊富な選手の存在が勝敗を左右する場面も多い。
交渉の行方は未だ不透明だが、双方にとってメリットの大きいこの移籍話が、近い将来に具体的な形として結実する可能性は決して低くない。イスタンブールの地で新たなキャリアをスタートさせるベンタンクールの姿を、トルコサッカーファンは心待ちにしていることだろう。