ベンヤミン・シェシュコ獲得に失敗し、アレクサンデル・イサクの将来にも暗雲が立ち込む中、ニューカッスルにとってヨアネ・ウィサ獲得は心強い後継者であり、来季のチャンピオンズリーグ戦いを左右する戦力となるかもしれない。
コンゴ代表FWは自らの意志を明確に示すため、ブレントフォードのトレーニングをボイコットするという強硬手段に出た。この行動が物語るのは、セント・ジェームズ・パークでのプレーへの並々ならぬ決意。
英『Sky Sports』Keith Downie記者によると、28歳のウィサは「チャンピオンズリーグでプレーできるクラブへの移籍を強く望んでいる」状況にある。昨季19ゴールを叩き出した実績は、エディ・ハウ監督が求める即戦力としての条件を完璧に満たしている。
ニューカッスルは既に2500万ポンドのオファーを提示したものの、ブレントフォードは即座に拒否。しかし、今回の報道において、3500万ポンド前後の移籍金で契約がまとまる可能性を示唆している。
ブレントフォードのキース・アンドリューズ新監督が「ウィサは推測のためロンドンに戻ることを決めた。来週のトレーニングで合流する予定だ」と語っているが、選手の心は既にタインサイドに向いている。ウィサの代理人は継続的に交渉を重ねており、移籍実現への道筋を模索している状況だ。
5000万ポンドという法外な要求、それでも諦めないマグパイズ
問題となっているのは移籍金の大幅な乖離だ。ブレントフォードは現在5000万ポンドという破格の移籍金を要求している。これは当初ニューカッスルが提示した2500万ポンドの倍額に相当する金額で、28歳という年齢を考慮すれば明らかに市場価値を上回る設定といえる。
しかし、この高額な要求の背景には明確な戦略がある。ブレントフォードは今夏、既にトーマス・フランク監督、クリスチャン・ノアゴール主将、そしてムベウモという中核メンバーを相次いで失っている。ウィサまで手放せば、昨季39ゴールという驚異的な得点力を誇った攻撃陣が完全に瓦解する危険性を抱えることになる。
興味深いのは、アル・ナスルの参戦。サウジアラビアのクラブは「ブレントフォードの要求額を満たす準備ができている」とされ、金銭面でのアドバンテージを武器にウィサ獲得に乗り出している。さらにリヴァプールも代替案としてウィサに注目していると報じており、三つ巴の争いが激化する様相を呈している。
チャンピオンズリーグという夢、キャリア最後の大勝負
ウィサにとって、この移籍は単なるステップアップではなく、キャリアの集大成となる可能性を秘めている。フランス下部リーグから這い上がり、ロリアンでリーグ1昇格の立役者となった後、2021年夏にブレントフォードに到着。イヴァン・トニーの陰に隠れながらも着実に成長を続け、昨季ついにエースストライカーとしての地位を確立した。
まもなく29歳の誕生日を迎える彼にとって、チャンピオンズリーグでプレーする機会は今回が最後となる可能性が高い。ニューカッスルが提示する舞台は、彼がこれまで夢見続けてきた頂点への扉なのだ。
ウィサのニューカッスル移籍が実現する可能性が高いとも報じらており、交渉の行方に楽観的な見方を示している。ニューカッスルのスカウト陣も、ウィサの運動能力、プレミアリーグでの実績、そして大舞台への飢えを高く評価している。エディ・ハウ監督のシステムにおいて、彼のペース、献身性、そして前線での多様性は理想的なフィットを約束するものだ。
ブレントフォードがボーンマスのダンゴ・ワッタラ獲得に動いているという報道も、ウィサ放出への準備を物語っている。最終的には選手の強い意志と、ニューカッスルの粘り強い交渉姿勢が勝利を収める可能性が高い。