オールド・トラッフォードの復活への道筋が、21歳のミッドフィルダーに託されようとしている。カルロス・バレバ。この名前を聞いて心躍らせないユナイテッドファンはいないだろう。ルベン・アモリム監督が構想する3-4-2-1システムの中核を担う存在として、ブライトンで圧倒的な存在感を示すカメルーン出身のミッドフィールダーへの熱視線が向けられている。
アモリムが描く理想像とバレバの完璧な適合性
アモリム監督がバレバに見出しているのは、技術的な能力だけではない。指揮官が最も重視するインテンシティこそが、バレバの最大の武器なのだ。3-4-2-1システムにおける守備的MFには、攻守両面での圧倒的な運動量と、瞬時の判断力が求められる。バレバは、まさにこのポジションに完璧に合致する選手として評価されている。
ブライトンでの2シーズンで、バレバは驚異的な成長を遂げた。アメックス・スタジアムでの躍動ぶりは、プレミアリーグ屈指のボックス・トゥ・ボックス・ミッドフィールダーとしての地位を確立している。1試合平均のタックル成功率、インターセプト数、そして前線への精度の高いパスは、すべてがアモリム戦術の要求水準を上回るものだ。
ユナイテッドが夏の移籍市場でゴールキーパーとミッドフィールダーの補強を最優先課題に掲げる中、バレバは間違いなく後者の筆頭候補となっている。クラブが描くチャンピオンズリーグ復帰、そして最終的なプレミアリーグ制覇への道筋において、バレバの獲得は欠かせないピースなのである。
今夏限定の移籍劇場?レアル・マドリードの影と時間との勝負
元プロサッカー選手のトロイ・ディーニーが発した警告は、ユナイテッドにとって冷や水を浴びせるものだった。今夏の移籍期間にバレバを獲得できなければ、二度とチャンスは巡ってこない—この現実味ある予測は、移籍市場の残酷さを物語っている。
バレバがもう1シーズン、ブライトンで輝きを放ち続けた場合、レアル・マドリードのようなヨーロッパの頂点に君臨するクラブが動き出すのは確実。ベルナベウの誘惑に抗える21歳の選手は稀有な存在であり、その時点でユナイテッドの立場は著しく弱くなる。
ブライトンが設定する1億ポンドという評価額は、決して法外な金額ではない。現在の移籍市場において、バレバの年齢、能力、そして将来性を考慮すれば妥当な水準といえる。問題は、ユナイテッドがベンヤミン・セスコ獲得で7400万ポンドを投じ、今夏の移籍支出が既に2億ポンドを突破している現実。
ラスムス・ホイルンドのACミラン移籍、アレハンドロ・ガルナチョのチェルシー移籍といった選手放出の可能性が浮上しているのも、バレバ獲得資金を捻出するための苦肉の策であることは明白だ。支払い構造に関するブライトンとの交渉が、この移籍劇の成否を分ける最後の鍵となるだろう。
プレミアリーグの移籍エコシステムにおけるトップ捕食者であり続けることを決意するユナイテッドにとって、バレバ獲得は単なる補強を超えた意味を持つ。これは、クラブの威信と未来への投資が試される、まさに正念場の局面なのである。