9月1日の移籍市場締切まで残り3週間を切った今、プレミアリーグ復帰1年目のリーズ・ユナイテッドが電撃的な動きを見せている。ダニエル・ファルケ監督が新たに照準を合わせたのは、ミランの多彩なアタッカー、ノア・オカフォー。25歳のスイス代表が、エランド・ロードで新章を刻む可能性が現実味を帯びてきた。
ノア・オカフォーの軌跡と戦術的価値
オカフォーの経歴を紐解けば、その戦術的価値は一目瞭然。バーゼルのユース出身で2018年にプロデビューを果たし、レッドブル・ザルツブルクで才能を開花させた。オーストリア時代の110試合34得点23アシストという記録は、彼の決定力とクリエイティビティを端的に表している。センターフォワードから左右のウイングまで、3つのポジションを高次元でこなせる稀有な存在として注目を集めてきた。
2023年7月にミラン移籍を実現したものの、短期間の負傷に見舞われがちで、53試合7得点に留まった。2024-25シーズン後半にはナポリへレンタル移籍したが、わずか4試合の出場に終わった。当初予定されていたRBライプツィヒへの移籍が土壇場で頓挫したことで、新天地での再起を模索している状況だ。スイス代表としては24試合2得点を記録し、ワールドカップ出場の実績も持つ。
リーズの戦略的思惑と移籍実現への道筋
英『The Athletic』によると、リーズはノア・オカフォーの獲得に本腰を入れているものの、現時点では公式なオファーやクラブ間交渉には至っていない。ファルケ監督は既にドミニク・カルバート＝ルーウィンの獲得で合意に達しており、オカフォーは攻撃陣の厚みを増すための次なる標的として位置づけられている。
今夏のリーズは積極的な補強を展開済みで、ルーカス・ペリやルーカス・ヌメチャ、セバスティアーン・ボルナウ、ガブリエル・グドムンドソン、ジャカ・ビヨルなどを次々に獲得している。チャンピオンシップで100ポイントを叩き出してプレミア復帰を果たしたクラブとして、今度は残留という新たな挑戦に向けた戦力構築を進めている。
リーズとミランは先週末ダブリンでプレシーズンマッチを戦っており、オカフォーは直接対決でファルケ監督の目に留まったとみられる。複数ポジションをこなせるオカフォーの特性は、プレミアリーグの過酷なスケジュールに対応する上で極めて貴重な戦力となる。
個人的な見解
オカフォーのリーズ移籍は戦術的に非常に理にかなった組み合わせだと考えている。ファルケ監督が志向する高い位置からのプレッシングと素早い攻撃転換において、オカフォーの運動量と技術的品質は理想的にフィットするはず。
ミランやナポリといったビッグクラブでの経験は、プレミアリーグという新たな舞台でも必ず活かされるだろう。特に、近年のプレミアリーグで昇格クラブが直面している厳しい現実を考えれば、欧州トップレベルでの実戦経験を持つ選手の価値は計り知れない。
ただし、移籍実現には複数のハードルが存在する。まず時間的制約が最大の課題だ。9月1日の締切まで3週間を切った現在、交渉の時間は限られている。
また、ミランサイドの要求額も重要な要素となる。イタリアメディアによると、ボローニャが1500万～1600万ユーロの提示を拒否されたとの報道もあり、リーズがどこまでの投資を覚悟するかが鍵を握る。
それでも、昇格1年目でプレミア残留を死活問題とするリーズにとって、オカフォーのような多機能型選手の獲得は戦略的に極めて重要な意味を持つ。この移籍劇がどのような結末を迎えるのか、残された時間の中で両クラブの動向から目が離せない。