怪我で戦線離脱中のロレンツォ・ペッレグリーニを巡る移籍劇が、ついに佳境を迎えている。『Sky Sports』が報じたところによると、ウェストハムがローマに対して正式オファーの準備を進めており、29歳のイタリア代表キャプテンの去就に大きな動きが見えてきた。現在プレシーズンに参加できずにいる彼の未来が、ロンドン東部で花開く可能性が現実味を帯びている。
グラハム・ポッター監督率いるハマーズは、昨シーズンの14位という不本意な順位から脱却するため、創造性豊かな中盤の補強を急いでいる。ペッレグリーニ本人も移籍に前向きな姿勢を示しており、プレミアリーグという新たなステージでの挑戦を歓迎している。
年俸700万ユーロ、ローマが放出を急ぐ内部事情
ペッレグリーニの移籍背景には、ローマの財政事情が色濃く影響している。年俸700万ユーロという高額サラリーがクラブの重荷となっており、ローマ首脳陣は彼の放出によって給与負担の軽減を図りたい考えだ。契約が来夏に切れることも、移籍実現を後押しする要因となっている。
この移籍の実現にはギド・ロドリゲスの退団が条件となる可能性がある。アルゼンチン代表MFはウェストハムでの適応に苦戦しており、新天地を求めている状況。ロドリゲスの移籍が成立すれば、ペッレグリーニの獲得に向けたパズルの最後のピースがはまることになる。
ペッレグリーニは2007年にローマのアカデミーに加入し、2015年にトップチームデビューを果たした生粋のローマっ子だ。2021年からキャプテンマークを巻き、これまでローマで316試合に出場している。イタリア代表でも36キャップを数える経験豊富な選手だが、現在は怪我の影響でプレシーズンの練習に参加できない状況が続いている。
クリスタル・パレスも参戦、激化する争奪戦
ウェストハムだけでなく、クリスタル・パレスも水面下でペッレグリーニとの接触を続けている。パレスは静かな移籍市場を送っているが、マルク・グエイとエベレチ・エゼの移籍可能性を抱える中、経験豊富な中盤の獲得を模索している。
ウェストハムの場合、昨シーズンはプレミアリーグで6番目に得点の少ないチームとなり、攻撃面での改善が急務となっている。同時に、5クラブしか上回らない失点数の多さも課題で、ペッレグリーニのような司令塔タイプの選手による試合のコントロール能力が求められている。
ペッレグリーニのプレースタイルは、まさにポッター監督が求める要素を兼ね備えている。ゲームメイクとゴール決定力を併せ持つ彼は、一部でフランク・ランパードとの比較もされるほどの完成度を誇る。プレミアリーグの激しいテンポにも対応できる技術力と判断力を持っており、ハマーズの中盤に新たな次元をもたらす存在となるかもしれない。
個人的な見解
ペッレグリーニのウェストハム移籍は双方にとって理想的な解決策だと感じている。ローマでの立場が微妙になりつつある彼にとって、プレミアリーグでの新挑戦は29歳という年齢を考えれば絶好のタイミングだ。
特にポッター監督の戦術哲学は、技術とインテリジェンスを重視するペッレグリーニの特徴と完璧にマッチしている。ウェストハムが昨シーズン苦戦した創造性の欠如を、彼一人で劇的に改善できる可能性がある。
ただし、現在の怪我の状況は気がかりな要素だ。プレシーズンに参加できていない状態で新リーグに適応するのは容易ではない。
それでも、ペッレグリーニが持つ圧倒的な経験値とメンタルの強さを考えれば、この試練も乗り越えられる資質を十分に備えている。ローマ一筋だった男がロンドンの地で再び輝きを放つ姿を心から見てみたい。