エランド・ロードに新たな風が吹こうとしている。チャンピオンシップを制覇し、2年ぶりのプレミアリーグ復帰を果たしたリーズ・ユナイテッドが、8月18日(月曜日)のエヴァートン戦を3日後に控えた今、レスター・シティのジェームズ・ジャスティン獲得に向けて水面下で激しい交渉を展開している。
英『GIVEMESPORT』のベン・ジェイコブズ氏の最新報道によると、両クラブの交渉は前に進んでおり、リーズ・ユナイテッド移籍が合意に近づいているようだ。
Leeds United are in advanced talks with Leicester City to sign defender James Justin.🦊
— Ben Jacobs (@JacobsBen) August 15, 2025
🤝 @alex_crook pic.twitter.com/L8nZ9zuQOo
ジャスティン本人が移籍を強く望んでいる。英『Leeds United News』が独占報道したところによると、選手は「この移籍を非常に熱望している」状況で、リーズ側も「他クラブの関心があることを承知しており、可能な限り迅速に契約を完了させたい」構えを見せている。
27歳のジャスティンは、昨シーズンレスター・シティと共にプレミアリーグから降格の憂き目を見たが、その中でも2,921分間という最多出場時間を記録し、最後まで戦い抜いた不屈の精神力を見せつけた。
両サイドバックをこなせる器用さと、プレミアリーグで培った99試合という豊富な経験値は、トップフライト復帰を目指すリーズにとって喉から手が出るほど欲しい戦力だ。
特に、右サイドバックのジェイデン・ボーグルが股関節屈筋の負傷で開幕戦出場が危ぶまれる状況において、ジャスティンの存在は緊急性を帯びている。興味深いことに、ジャスティンはダン・ジェームズと同じエージェントを持っており、既にリーズとのパイプが太い。
ダニエル・ファルケが描くジャスティンの役割
ダニエル・ファルケ監督が構想するリーズの戦術システムにおいて、ジャスティンのような多機能型ディフェンダーは極めて重要な存在となる。
昨シーズンのチャンピオンシップで見せたリーズの攻撃的なサッカーは、サイドバックの高い位置でのプレーを前提としており、ボーグルがまさにその象徴的存在だった。しかし、プレミアリーグという舞台では、相手の質とプレッシャーが格段に上がる。そこで求められるのが、守備の安定性と攻撃参加のバランスを高次元で両立できる選手だ。
ジャスティンの価値を物語るエピソードがある。2020年、当時ルートン・タウンでジャスティンを指導していたネイサン・ジョーンズ監督は、英『TalkSport』でこう語っていた。
「ダニエウ・アウベスやジョルディ・アルバのような、バルセロナでプレーしワールドカップや欧州選手権を制したトップフルバックを見ればわかるが、JJ(ジャスティン)はそのタイプの選手だ。彼は必ずイングランド代表でプレーする。もし彼がバルセロナに移籍したとしても、何の驚きもない」
実際にジャスティンは2022年6月にイングランド代表デビューを果たし、昨シーズンのプレミアリーグでは180回のデュエル勝利、46回のインターセプト、11回のブロックを記録し、すべてフルバックの上位10%にランクインする成績を残している。レスターでは左右両サイドバックはもちろん、時にはウイングバックとしても起用され、戦術的な柔軟性を武器としてきた。
降格の危機に直面したレスターでキャプテンマークを巻いた責任感とリーダーシップは、昇格組としてプレミアリーグで戦うリーズにとって計り知れない価値がある。
リーズの夏の移籍戦略と昇格組の野心
リーズの今夏の移籍活動は、明確な意図と戦略に基づいて進められている。ドミニク・カルバート=ルーウィンのフリー移籍での獲得合意は、その象徴的な動きだった。
エヴァートンで9シーズン、274試合71ゴールという実績を誇るストライカーの獲得は、リーズがプレミアリーグでただ残留するだけでなく、上位進出への野心を抱いていることの表れだ。
ゴールキーパーのルーカス・ペリから始まり、ディフェンダーのセバスティアン・ボルナウ、ガブリエル・グドムンドソン、ジャカ・ビヨル、ミッドフィールダーのアントン・シュタッハ、ショーン・ロングスタッフ、そしてストライカーのルーカス・ヌメチャまで、リーズは各ポジションにプレミアリーグ経験豊富な即戦力を投入している。
さらに注目すべきは、レスターのビラル・エル・カンヌスとの交渉も並行して進めていること。モロッコ代表の22歳は、シェフィールド・ウェンズデー戦でアシストを記録するなど、既にその才能の片鱗を見せている。若手の有望株と経験豊富なベテランをバランス良く獲得する方針は、短期的な成功と中長期的なチーム作りを両立させようとするリーズの賢明な戦略と言える。
一方で、アイザック・シュミットの退団が秒読み段階に入っており、ヴェルダー・ブレーメンへの期限付き移籍が濃厚。昨シーズン、シュミットはチャンピオンシップでわずか71分間の出場にとどまり、ファルケ監督の信頼を得られなかった。この状況がジャスティン獲得の緊急性をさらに高めている。
個人的な見解
ジャスティンの移籍が実現すれば、リーズにとって今夏最も重要な補強の一つになることは間違いない。プレミアリーグで通用することが証明済みの27歳が、この金額で獲得できるのは降格というレスターの事情があってこそだが、リーズにとっては千載一遇のチャンスに他ならない。
特に、ボーグルの負傷という緊急事態において、即戦力として計算できる選手を獲得する意義は計り知れない。
長期的な視点で見ても、ジャスティンの加入はリーズの戦術的選択肢を大幅に広げる。ファルケ監督は4-2-3-1から3-5-2まで、状況に応じて様々なフォーメーションを使い分けるが、両サイドバックを高水準でこなせる選手がいることで、その幅はさらに拡がる。
プレミアリーグという厳しい舞台で生き残るには、こうした戦術的柔軟性が不可欠。ジャスティンという経験豊富なベテランが加わることで、リーズは昇格組から本格的なプレミアリーグの一員へと成長する。8月18日のエヴァートン戦を皮切りに始まる新シーズンが、今から楽しみでならない。