ビラル・エル・カンヌス、クリスタル・パレス移籍がが内定!エゼ後継者として合意間近

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ビラル・エル・カンヌスという名前が、今夏のプレミアリーグ移籍市場で最も熱い話題を呼んでいる。モロッコ代表の21歳は、わずか数カ月前まで降格の痛手を負ったレスターシティの一員だったが、現在はクリスタル・パレスが32億円を投じてでも獲得したい逸材として脚光を浴びている。

英『TBRfootball』のGraeme Bailey記者による最新報告では、両クラブ間での移籍合意が目前に迫っており、週末までにも正式発表される可能性が高まっている。

この移籍劇の核心には、エベレッチ・エゼのトッテナム移籍が横たわっている。オリバー・グラスナー監督率いるパレスにとって、FAカップ制覇の立役者であるエゼの後釜を埋めることは喫緊の課題だ。

そこで浮上したのが、降格組レスターでプレミアリーグの荒波を乗り越えてきたエル・カンヌスの存在である。昨季はルート・ファン・ニステルローイ政権下で苦境に立たされたチームにあって、32試合で9つのゴール関与を記録。今季開幕戦のシェフィールド・ウェンズデー戦では2アシストを演出するなど、チャンピオンシップでも即座に輝きを放っている。

エル・カンヌスが秘める戦術的多様性の魅力

パレスがエル・カンヌス獲得に本腰を入れる背景には、彼の卓越した戦術的柔軟性がある。ベルギーのヘンクで才能を開花させた左利きの攻撃的ミッドフィルダーは、中央のプレーメーカーから両サイドのウィンガーまで幅広くカバーでき、グラスナーが追求する流動的な攻撃システムに完璧にフィット。

昨季のレスターでは、主に10番の位置から創造性を発揮しつつ、時にはサイドに流れて攻撃に変化を与える役割も担った。この汎用性こそが、エゼという唯一無二の存在を失うパレスにとって最も魅力的な要素となっている。

技術面では、エル・カンヌスの最大の武器は狭いスペースでの華麗なボールコントロールと、守備ラインを切り裂くスルーパスだ。プレミアリーグの激しいプレッシングにも動じない冷静さを備え、特にハーフスペースから繰り出される斜めのパスは圧巻の精度を誇る。

モロッコ代表としても22キャップを重ね、国際舞台での豊富な経験も蓄積している。これらの要素を総合すれば、パレスが当初拒否した20億円から32億円まで評価額を押し上げたのも頷ける判断だ。

レスター降格が開いた移籍市場の扉

興味深いのは、この移籍劇がレスターの財政状況とタイミングが絶妙に噛み合った結果でもあることだ。降格により選手の市場価値が下落する中、エル・カンヌスの25億円だった降格条項は既に期限切れとなっている。

しかし、チャンピオンシップでのプレー継続を拒んだ選手の強い意志が、皮肉にもより高額な移籍金を生み出す状況を作り上げた。パレスとしても、欧州カンファレンスリーグ出場権という魅力的な条件を武器に、他のプレミアリーグクラブとの競争を制したことになる。

エゼのトッテナム移籍が木曜日の欧州戦後に本格化するとの情報もあり、パレスの移籍戦略は極めて計算高い。代替選手を先に確保することで、エゼの移籍交渉でも優位なポジションを維持できる。このような周到なアプローチは、近年のパレスの着実な成長を物語っている。

個人的な見解

エル・カンヌスのパレス移籍は双方にとって申し分のない結果になると確信している。選手にとってはプレミアリーグ復帰とヨーロッパ戦出場という飛躍のチャンスであり、パレスにとってはエゼに匹敵する創造性豊かな選手を適正価格で確保できる絶好の機会だ。

特に見逃せないのは、エル・カンヌスがまだ21歳という若さでありながら、すでにプレミアリーグの厳しさを熟知している点である。これは計り知れないアドバンテージとなる。

ただし、課題も山積している。エゼという絶対的な存在を失うパレスファンの期待に応えるプレッシャーは並大抵のものではないだろう。また、レスターでの最終シーズンは降格争いという異例の状況下でのパフォーマンスであり、欧州戦出場を目指すパレスでどこまで成長を遂げられるかは未知の領域。

それでも、グラスナー監督の卓越した戦術眼と選手育成能力を考慮すれば、エル・カンヌスがセルハースト・パークで新たなスターダムを築く可能性は十分に高いと判断する。この移籍が実現すれば、プレミアリーグにまた一人、目が離せない才能が加わることになる。