ロンドン西部のコテージャーズが、またもや興味深い逸材に照準を合わせている。フラムが今夏の移籍市場で獲得を目指すのは、22歳のイラン人アタッカー、モハマド・ジャヴァド・ホセイネジャドだ。ディナモ・マハチカラに所属するこの若きタレントをめぐり、ウォルバーハンプトンとセビリアを巻き込んだ三つ巴の争奪戦が勃発している。
英『TEAMtalk』の報道によると、フラムは既にホセイネジャド獲得に向けて本格的な交渉を開始している。リース・ネルソンやウィリアンの退団により攻撃陣の再構築が急務となっているコテージャーズにとって、多彩なポジションでプレー可能な22歳のアタッカーは格好の補強ターゲットだ。
ホセイネジャドという選手の実像
ジュイーバー出身のホセイネジャドは、昨夏にセパハンFCからディナモ・マハチカラに移籍して以降、着実な成長曲線を描いている。36試合に出場し4ゴール6アシストを記録した数字は決して派手ではないが、ロシアリーグという厳しい環境で経験を積んできた価値は計り知れない。
攻撃的ミッドフィールダーとしての適性を持ちながら、サイドでもプレー可能な戦術的柔軟性こそが彼の最大の魅力だ。特に左足から繰り出される精密なクロスとカットインからのシュートは、既に複数のヨーロッパクラブの注目を集めている理由でもある。
イラン代表での実績はまだ限定的だが、22歳という年齢を考慮すれば、今後のポテンシャルは十分に期待できる。実際、セビージャのようなヨーロッパの名門クラブが獲得競争で先頭を走っていることが、彼の能力を物語っている。
セビージャとの熾烈な争奪戦
現在のところ、セビージャがホセイネジャド獲得レースで一歩リードしているとされる。スペインの名門クラブが持つ魅力は確かに大きく、特に若手選手のステップアップ先としての実績は申し分ない。一方でフラムには、プレミアリーグという世界最高峰リーグでプレーできる機会を提供できる強みがある。
マルコ・シルバ監督の下で戦術的成熟度を高めているフラムにとって、ホセイネジャドのような創造性豊かなアタッカーの加入は攻撃バリエーションの拡充に直結する。特に昨季のプレミアリーグで見せた堅実な守備基盤に、より多彩な攻撃オプションが加われば、ヨーロッパ圏内への挑戦も現実味を帯びてくるだろう。
他の攻撃的選手との獲得も並行して進めているフラムだが、ホセイネジャドとの交渉が成功すれば、来季に向けた戦力強化は大きく前進することになる。しかし、セビージャとウォルバーハンプトンという強力なライバルとの競争を勝ち抜くには、相当な決断力と交渉力が求められる状況。
長年この業界を見てきた立場から感じるのは、ホセイネジャドという選手が典型的な伸びしろ型のタレントであることだ。現時点でのスタッツは確かに控えめだが、22歳という年齢でロシアリーグのような物理的に厳しいリーグで一定の結果を残していることは高く評価すべきポイントだろう。
フラムの戦術システムを考えると、彼のような多機能型アタッカーは非常に有効だろう。シルバ監督が好む流動的な攻撃において、複数ポジションをこなせる選手の価値は高い。
ただし、セビージャとの争奪戦という観点では、やはりスペインクラブの持つ魅力は侮れない。ヨーロッパリーグ常連であり、若手育成の実績も豊富なセビージャに対して、フラムがどのような差別化要素を提示できるかが鍵になるはずだ。