夏の移籍市場が終盤戦を迎える中、一人のブラジル人ウイングの動向が両クラブファンの心を掴んで離さない。マンチェスター・シティのサビーニョを巡り、トッテナムが仕掛けた最後の大勝負が、プレミアリーグ界に大きな波紋を広げている。
Ben Jacobs氏による最新報道によれば、トッテナムは週末の交渉を経てもなおサビーニョ獲得を諦めず、7000万ユーロ超の提示額でマンシティの扉を叩き続けている。
だが、シティサイドは8000万ユーロ以上という高い要求額を設定し、21歳の逸材を簡単には手放さない姿勢を貫いている。この数字の背後には、グアルディオラ監督とクラブ首脳陣がサビーニョの圧倒的なポテンシャルに抱く確信がある。
Tottenham are still trying to sign Savinho following talks over the weekend.
— Ben Jacobs (@JacobsBen) August 24, 2025
Spurs willing to pay over €70m. #MCFC want €80m+ to reconsider their position.
Manchester City have blocked the move all summer as they believe even a big sale could be a mistake due to Savinho’s… pic.twitter.com/Ar5JCrRII6
トッテナムの執念とサビーニョが秘める真の価値
トッテナムにとって、サビーニョ獲得は今夏の移籍戦略における最重要ミッションと位置づけられている。戦術的な万能性は魅力的だ。昨季マンチェスター・シティでの48試合3ゴール13アシストという数字だけ見れば大人しく映るが、右サイドから中央、さらには左サイドまでこなす融通の利き方こそが本当の価値。
トーマス・フランク監督が描く流動的な攻撃戦術において、サビーニョの左足から放たれる精密なクロスとカットインは、スパーズの得点力不足を一気に解決する特効薬になる。
さらに見逃せないのは、サビーニョ本人が見せる強烈な移籍願望だ。複数のソースが伝えるように、ブラジル代表の21歳は自らのエージェントに移籍実現を託し、2026年ワールドカップに向けたより多くの出場機会を求めてトッテナム行きを切望している。
この図式は、数年前にハリー・ケインがバイエルン・ミュンヘンへと向かった時とそっくりで、選手側の強い意志がクラブ同士の駆け引きを大きく左右する展開が予想される。
マンシティの戦略とサビーニョの未来像
マンチェスター・シティから見れば、サビーニョは将来性に賭けた大切な投資物件。昨夏に3080万ポンドで獲得したこの若手ウイングは、グアルディオラの薫陶を受けて順調に力をつけてきた。フィル・フォーデン、ジェレミー・ドク、オスカー・ボブといったライバルたちと日々しのぎを削りながら腕を上げている。
しかし、シティの歴史を振り返れば、選手が明確な移籍意志を示した場合には道を開くという伝統がある。英『The Athletic』のデビッド・オーンスタイン氏の分析によると、現在の交渉は5000万ユーロ圏での議論が中心となっているが、シティサイドはそれを大幅に上回る金額でなければテーブルに着かない姿勢を堅持している。
興味深いのは、英『TBR Football』が伝えるシティ内部の空気だ。クラブ上層部がペップ・グアルディオラに対し「サビーニョの売却資金を受け入れるべき」と耳打ちしているという情報は、シティの微妙な立場変化を物語っている。
仮にサビーニョが去った場合、レアル・マドリードのロドリゴが後釜候補として名前が挙がっているが、これはグアルディオラが戦力ダウンを嫌い、即戦力クラスでの補強を考えていることの表れだ。
トッテナムにとって、サビーニョ獲得はソン・フンミンのLAFC移籍によって空いた左ウイングの穴を埋める以上の話になる。デヤン・クルゼフスキといった現有戦力では物足りないサイドアタックの底上げ、そしてケイン放出以降に続く大物獲得への飢えを満たす看板移籍にもなり得る。
新監督を迎えたスパーズにとって、サビーニョのような将来性バツグンの選手を連れてくることは、クラブの本気度を内外に知らしめる格好のアピールになる。
グアルディオラの指導で経験を積ませて市場価値を釣り上げ、絶妙なタイミングで売却益をさらうのは、近年のシティが十八番にしている手法。
サビーニョという原石をもっと磨き上げてから売るか、それとも今の高額オファーに乗るか。この選択が両クラブの行く末を決める重要な岐路になる。移籍期限が目前に迫った今、サビーニョ本人の最終的な腹決めとトッテナムの本気度が試される正念場を迎えている。