ホワイト・ハート・レーンの野心が、バーミンガムの若き才能に熱視線を送っている。トッテナム・ホットスパーが、アストン・ヴィラのモーガン・ロジャーズに対して近日中に正式オファーを提出する意向を固めた。Pete O’Rourke氏がこの情報を報じており、北ロンドンのクラブはエベレチ・エゼをアーセナルに強奪されたばかりだが、新たなターゲットに狙いを定めた。
Tottenham are ready to test Aston Villa’s resolve to keep hold of Morgan Rogers with a firm offer expected soon. #THFC #AVFC pic.twitter.com/QCcMRxWUhM
— Pete O’Rourke (@SportsPeteO) August 25, 2025
ロジャーズは現在23歳、身長187cmの攻撃的ミッドフィルダーとして、昨シーズンのプレミアリーグで8ゴール11アシストの数字を残し、全大会では14ゴール16アシストという印象的なスタッツを記録した。
この活躍により、彼はPFA最優秀若手選手賞を受賞し、イングランド代表にも定着している。2024年1月にミドルズブラから1500万ポンドでヴィラ・パークに移籍して以降、彼の市場価値は急上昇を続けている。
トッテナムがロジャース獲得に本腰、移籍金は最大1億1000万ポンド
トッテナムの関心は偶然ではない。ジェームズ・マディソンがプレシーズン親善試合で前十字靭帯を断裂し、長期離脱が確実となった。さらに、キャプテンのソン・フンミンもLAFCへの移籍が完了し、創造性豊かな攻撃陣の再構築は待ったなし。
スパーズはすでに仲介人を通じてロジャーズサイドに接触を開始しており、彼を優先ターゲットに位置付けているという。ただし、ヴィラとの交渉は簡単ではない。
ロジャーズの契約は2030年まで残っており、元トッテナムのスカウトであるブライアン・キング氏は「ヴィラがロジャーズの売却を検討するには1億ポンドを超える提示が必要になる」と分析している。実際、一部報道では移籍金は最大1億1000万ポンドに達する可能性も示唆されている。
アストン・ヴィラのPSR問題が移籍実現の鍵を握る
一方、アストン・ヴィラ側の事情も複雑だ。現在のヴィラは財政面で綱渡りの状況にある。UEFAの財政規則違反により950万ポンドの罰金を科せられ、プレミアリーグのPSR(利益とサステナビリティ規則)への対応も迫られている。
このような状況下で、高額なオファーが提示されれば売却を検討せざるを得ない可能性がある。チェルシーもロジャーズ獲得に興味を示しており、競争は激化している。
ロジャーズ本人は最近のインタビューで「ここ(ヴィラ)で幸せだ。フットボールを愛しているし、ピッチに出てプレーすること以上に好きなことはない」と語っており、移籍に積極的ではない姿勢を見せている。しかし、チャンピオンズリーグでプレーできるトッテナムやチェルシーからの誘いは魅力的に映るはずだ。
彼の特徴は、その身体能力とゴール前での冷静さにある。昨シーズンはミドルズブラから加入したばかりにもかかわらず、すぐにウナイ・エメリ監督の戦術に適応し、チームの中心選手として活躍した。ボールを持てば相手を引きつける推進力があり、シュートレンジの広さも魅力的だ。プレミアリーグ屈指のビッグクラブでプレーするだけの実力は十分に備えている。
エゼ獲得に失敗した今、トーマス・フランク監督の構想を実現するためには、思い切った決断が求められている。移籍期限まで残り1週間という土壇場で、北ロンドンの野心がバーミンガムの牙城を崩すことができるか。
個人的な見解
個人的には、この移籍が実現する可能性は五分五分だと考えている。ロジャーズの実力は疑いようがなく、トッテナムにとって理想的な補強になることは間違いない。
しかし、移籍金の問題が最大のハードルになるだろう。レヴィ会長はこれまで慎重な投資姿勢を貫いてきたが、マディソンとソンという主力2選手を失う現状を考えると、今回ばかりは大胆な決断が必要かもしれない。ヴィラ側のPSR問題も交渉材料となり得るが、ビダガニー氏の強気な姿勢を見る限り、簡単には手放さないはずだ。
また、ロジャーズ自身の意思も重要な要素となる。現在はヴィラ残留を希望しているようだが、チャンピオンズリーグというヨーロッパ最高峰の舞台でプレーする機会は、若い選手にとって抗いがたい魅力を持っている。
エメリ監督のもとで成長を続けるか、それとも新たな挑戦を選ぶか。この決断が彼のキャリアにとって大きなターニングポイントになることは確実だ。いずれにせよ、今後数日間の動向から目が離せない状況が続くだろう。