移籍市場の時計は誰にも待ってくれない。クリスタル・パレスはエベレチ・エゼ放出の痛手を抱えながらも、次の一手を明確に示し始めた。
英『TBR Football』は、パレスがボーンマスのデイビッド・ブルックス獲得に向けて接触したと報じている。なお、ビラル・エル・カンヌス獲得が頓挫した流れを受けた動きだとも伝えている。
さらに複数のメディアが、ビジャレアルのジェレミ・ピノについて移籍合意に達しメディカル実施の段階に入ったと報じ、金額は総額2600万ポンド規模と報じている。ここ数日の報道は、パレスがいわゆる穴埋めではなく、攻撃の再設計に踏み込んでいる。
デイビッド・ブルックスとジェレミ・ピノの戦術的適合
オリヴァー・グラスナー率いるパレスは、前進守備とトランジションの速度で勝負する。エゼ退団で失われたのはボール保持下の創造性だが、同じ型で埋めるよりも、強度と走力、局面の切り替えで上回る再設計は現実的。
ブルックスは右サイドを基点に内側へ差し込み、ハーフスペースで配球とコンビネーションを織り交ぜるタイプ。プレミアでの経験値と守備の戻りが計算でき、即日で戦術の歯車に噛み合う。
ピノは縦への加速と一対一での踏み込みが強みで、背後を突く動きと二次加速で相手の最終ラインを剥がす。二人の同時投入は、保持からの崩し一辺倒だった局面を、奪ってからの直線的な加速に振れるきっかけになる。
数字の裏付けとして、ブルックスはボーンマスで長期にわたり右の起点を担い、カットインからの左足フィニッシュとスイッチの配球が武器。ピノはラ・リーガで対人の耐性と背後取りの反復で評価を高めた。
創造の中心を単独で置くのではなく、複数のアクセルを並べる発想は、グラスナーのゲームプランと親和性が高い。エル・カンヌス型の司令塔に資金を集中するルートが閉じたとしても、強度とスピードで局面をズラす方法に舵を切れば、パレスは別解にたどり着けるだろう。
個人的な見解
エル・カンヌスの撤退は損失ではなく判断の更新だと受け止めている。価格高騰と競争激化の渦中で、司令塔一枚に依存するより、プレミア適応済みのブルックスと伸び代の大きいピノで分散投資する方が、リスク管理と戦力の同時最大化につながる。両者の特性は重ならず、同時起用でも役割の衝突が起きにくい。
現実的な懸念は、ブルックスの獲得可否だ。ボーンマスが最終的に扉を開けない場合、右サイドの即戦力枠が薄くなる。
そこを埋める保険として、フリーランの走力と逆サイドへの展開を担えるウィンガーの追加が必要になる。いずれにせよ、ピノが加われば、パレスは速さと鋭さで試合の脈を握れる。エゼ放出後の空白を、別様式の攻撃で塗り替えるチャンスは十分にある。