デラップが倒れ、ジャクソンがミュンヘンで足止めを食らう中、チェルシーのスカウト陣はポルトガルに熱い視線を注いでいる。ベン・ジェイコブズ氏によると、その先にいるのは、ヴィクトル・ギェケレシュの陰に隠れながらも着実に成長を続ける20歳のデンマーク代表候補、コンラッド・ハーダーだ。
Chelsea are considering a move for Sporting’s Conrad Harder as they assess late-window striker options following Liam Delap’s hamstring injury.
— Ben Jacobs (@JacobsBen) August 31, 2025
It comes as Nicolas Jackson insists on joining Bayern. #CFC are open to a permanent sale. Failing that, Chelsea want Jackson to return… pic.twitter.com/1iDIuR8Hwc
スタンフォード・ブリッジの攻撃陣が混沌を極める中、エンツォ・マレスカ監督はアカデミー出身のタイリーク・ジョージを一軍に抜擢せざるを得ない苦境に立たされている。
土曜日のフルハム戦でわずか14分で負傷退場したデラップの診断結果は、最悪のタイミングで届いた8週間の離脱宣告。3000万ポンドをイプスウィッチに支払って獲得した新たな9番への期待が、一瞬にして暗雲に包まれた。
ジャクソン騒動が生んだ新たな移籍ターゲット
バイエルン・ミュンヘンとの1300万ポンドのローン契約、5620万ポンドの買取オプション付きで合意していたニコラス・ジャクソンの移籍が、デラップの負傷により急遽白紙撤回。エージェントのアリ・バラトと共にミュンヘンに留まるジャクソンの心境は複雑だ。
しかし、この混乱こそがハーダーへの道筋を開いた。チェルシーは完全移籍なら検討するとの新方針を打ち出し、若い才能への投資を優先する構えを見せている。昨シーズン、リーグ戦28試合で5ゴール5アシストを記録したデンマークU-21代表は、まさにチェルシーの理想的な補強対象に合致する。
スポルティングの隠れた宝石、欧州クラブが熱視線
ギェケレシュという絶対的エースの存在により出場機会に恵まれなかったハーダーだが、その潜在能力は疑う余地がない。身長185センチの恵まれた体格に、ボックス内での嗅覚の鋭さを兼ね備えた現代的なストライカー像を体現している。
移籍専門家のグレアム・ベイリー氏は「巨大な才能」と評価し、ギェケレシュの後継者として期待される存在だ。しかし、チェルシーの前に立ちはだかるのがRBライプツィヒの存在。ドイツクラブとの交渉が先行しているとされ、時間との勝負が続いている。
チェルシーのスカウティング部門は2月の時点でハーダーをリストアップしており、今回の急展開は決して場当たり的な判断ではない。長期的な戦略に基づく計算された一手として、移籍期限までの残り時間を最大限活用する構えだ。
個人的な見解
この移籍劇を見る限り、チェルシーの迷走ぶりは深刻な域に達している。デラップという新戦力への過度な依存、ジャクソンの扱いの杜撰さ、そして土壇場でのハーダー獲得検討。一連の流れは、トッド・ベーリー政権下での場当たり的な運営体質を象徴している。
ハーダー自体の才能に疑いはない。スポルティングという名門クラブでギェケレシュという世界屈指のストライカーと競い合い、限られた機会でも結果を残してきた実績は評価に値する。しかし、プレミアリーグという激しい戦いの場で、果たして即戦力として機能するかは別問題。
むしろ注目すべきは、この移籍がチェルシーの今後の方向性を占う試金石になり得る点だ。若手への投資を謳いながら、実際は短期的な穴埋めに走る傾向が散見される中、ハーダーのような長期プロジェクトにどこまで本気で取り組めるか。マレスカ監督の手腕もさることながら、クラブとしての一貫性が問われている。
仮にハーダー獲得が実現すれば、ジャクソンの去就も自ずと決まる。バイエルンが完全移籍にステップアップする可能性は高く、チェルシーにとっても悪い話ではない。
ただし、移籍期限まで残された時間を考慮すると、相当にリスキーな賭けになることは間違いない。果たしてスタンフォード・ブリッジに新たな才能が舞い降りるのか、最後の最後まで目が離せない展開が続きそうだ。