かつてアストン・ヴィラで中盤の双方向性を証明し、セリエAで苦戦したブラジル人の守備的MFドウグラス・ルイスが、再びイングランドの大舞台へ帰還した。
ノッティンガム・フォレストへの移籍が正式発表され、かつての輝きを取り戻す挑戦がいよいよ始まる。ここでは交渉の裏側から契約に組み込まれた微細なリスク管理、そしてマンチェスター・ユナイテッドの関心をかすめた一連の流れを詳しく辿る。
再びプレミアへ踏み出したドウグラス・ルイスの移籍劇
イタリア人ジャーナリストのMatteo Moretto氏の報道によれば、フォレストは2025年1月にドウグラス・ルイスへ初めて接触したものの、正式な交渉は夏に持ち越された。
ユヴェントスは当初、マンチェスター・ユナイテッドからのレンタルオファーを検討したが、イゴール・トゥドール監督が構想する3−4−2−1にフィットしきれないと判断し見送った。その後、フォレスト側が移籍市場終盤の8月に改めて打診を強め、31日にシーズンローン契約が成立した。
契約には出場15試合に到達すると買取義務が自動発動する条項が盛り込まれ、ベースとなる移籍金2100万ユーロに加え、出場1試合ごとに追加報酬が発生。最大で2500万ユーロまで跳ね上がる仕組みだ。この段階的条項により、フォレストは選手の適応を確かめながら支出をコントロールする時間を手に入れた。
ドウグラス・ルイスのこれまでのプレミアリーグでの実績を踏まえれば、チームに馴染めば、プレー時間が増えることは間違いない。
ノッティンガム・フォレストが描く戦術的理想図
フォレストを率いるヌーノ・エスピーリト・サント監督は、中盤に技術と強度を両立できる人材を求めていた。ドウグラス・ルイスはアストン・ヴィラ時代、平均1.7回のタックルと0.7回のインターセプトをマークしつつ、攻撃面では1.5回のチャンスメイクを達成した。多面的な能力は、攻守の入れ替わりが激しいプレミアリーグで真価を発揮するはずだ。
フィールド上ではミドルブロックの前方に位置し、ビルドアップの起点として前線へ供給する役割に加え、相手最終ラインを突き破る縦パスでチャンスを生み出すことも期待される。序盤2試合では後方へのサポートで安定感を醸し出しつつ、相手陣内ではドリブル突破を試みるなど多彩な顔を見せた。
契約条項の発動期限は来年6月末まで。ヌーノ監督は序盤から細かなコンディション管理と起用プランを練り上げ、ドウグラス・ルイスの特徴を最大限に引き出す構えだ。出場機会が完全移籍のスイッチとなる以上、積極的な起用が約束されたとも言える。
個人的な見解
このような段階的買取義務付きレンタルは近年増加しているが、フォレストがここまで細部を詰めたケースは珍しい。15試合というラインは選手の適応を測る上で適度に高く、かつクラブの財務リスクを抑える絶妙な設定だ。
一方でドウグラス・ルイスにとっては、試合ごとの起用がそのまま自らの将来を左右するプレッシャーになり得る。
初期パフォーマンスで監督の信頼を勝ち取り、完全移籍へのハードルを乗り越えられれば、再びプレミアリーグの中心選手として名を刻むことができるはずだ。これからの15試合が、彼のキャリア再構築における最重要区間となるだろう。次節以降の活躍に期待したい。