プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドに所属するイングランド代表DFハリー・マグワイアが、サウジ・プロリーグの強豪クラブから注目を集めている。
英『CaughtOffside』によると、アル・アハリとアル・ナスルという2つのクラブが、今夏の移籍市場終盤に向けてマグワイアの状況を継続的にモニタリングしているという。
両クラブは、欧州主要リーグの移籍期限が過ぎた現在も動くことが可能だ。サウジアラビアの移籍市場は9月23日まで開いており、プレミアリーグのクラブにとっては、シーズン開幕後も選手放出の可能性が残されている特殊な状況だ。
それぞれのクラブが抱える思惑
マグワイアの現行契約は2026年まで残っているが、年齢や出場機会の変動を踏まえると、ユナイテッドが適切なオファーを受け入れる可能性は否定できない。報道によれば、両クラブは移籍金としておよそ1500万ユーロを提示する用意があるとされ、この金額はプレミアリーグ基準では控えめながら、契約残存期間や選手の年齢を考慮すれば現実的な水準といえる。
アル・ナスルは、クリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネら、欧州トップレベルで実績を残した選手を次々と獲得してきた。彼らの補強戦略は、知名度だけでなく、即戦力としての国際経験とリーダーシップを重視している。
マグワイアは、プレミアリーグと代表戦で培った空中戦の強さ、組織的守備の統率力、そして後方からのロングパスによる展開力を兼ね備えており、アル・ナスルの守備ライン強化において理想的な人材と見られている。
一方のアル・アハリは、トルコ代表DFメリフ・デミラルの去就が鍵を握る。デミラルがトルコ・スーパーリーグなど他クラブへ移籍する場合、その穴を埋める即戦力センターバックが必要となる。マグワイアはその第一候補の一人であり、デミラルの動向次第では正式なオファーが提示される可能性が高い。
マグワイアの現状
2019年夏、レスター・シティから当時世界最高額となる8000万ポンドで加入したマグワイアは、これまで公式戦249試合に出場し16得点8アシストを記録。2020年にはキャプテンに任命され、守備の要として長くチームを支えてきた。
しかし、近年は出場機会が減少し、今季もプレミアリーグでの先発はまだない。ルベン・アモリム監督の下では6人のリーダーシップグループの一員としてロッカールームでの影響力を維持しているが、戦術的な序列は変動している。
サウジ・プロリーグは近年、欧州のトップリーグから実績ある選手を積極的に獲得しており、その補強規模とスピードは世界的な注目を集めている。プレミアリーグからの移籍も増加しており、リーグ全体の競争力と国際的な注目度が急上昇している。マグワイアのような経験豊富なセンターバックは、こうした流れの中で非常に価値が高い存在。
ユナイテッドにとって、マグワイアは依然として経験豊富なバックアップであり、負傷者が出た際には頼れる存在だ。しかし、契約残り期間や年齢を考慮すれば、適切な移籍金での売却は財務的にも合理的な選択肢となり得る。特に、サウジ市場の移籍期限が欧州より遅いことは、クラブにとって追加の交渉機会を意味する。
現時点で正式な交渉開始や合意の報道はないが、サウジアラビアの2クラブがマグワイアの動向を注視しているのは確かだ。デミラルの去就やユナイテッドの負傷状況、そして選手本人の意向が、今後数週間の動きを左右するだろう。
サウジ移籍市場の閉幕まで残りわずか。マグワイアの名前は、最後の最後まで移籍関連の見出しを飾る可能性がある。