フラムがロドリゴ・ムニスに大型契約提示へ!アタランタの誘惑を退けた23歳の決断

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フラムがロドリゴ・ムニスに大型契約提示へ!アタランタの誘惑を退けた23歳の決断 Fulham

ロンドン西部のクレイヴン・コテージで、ひとりのブラジル人ストライカーが静かにクラブの未来を変えつつある23歳FWロドリゴ・ムニス。

昨季公式戦11得点を挙げ、マルコ・シウバ監督の戦術に不可欠な存在へと成長した彼は、この夏、アタランタからの強烈な引き抜き攻勢を受けた。それでも移籍は成立せず、フラムは彼を中心に据えた新たなプロジェクトを進めることを選んだ。

アタランタの攻勢とフラムの防衛線

2025年夏の移籍市場、アタランタはチャンピオンズリーグ出場権を武器に、ムニス獲得へ本格的に動いた。提示額は高額だったが、フラムが設定した4,300万ポンドの評価額には届かず、交渉は決裂。

それ以上に決定的だったのは、クラブがムニスに示した明確なメッセージ。シウバ監督は彼を「チームの最前線で最初に名前が書かれる選手」に据えると約束し、戦術面でも中心的役割を保証した。

この説得は、給与や契約年数に留まらない。ムニスはプレミアリーグでの成長を優先し、欧州カップの舞台よりも、日々のリーグ戦での進化を選んだ。クラブはその決断に応えるべく、週給£7,500という現行条件を大幅に引き上げる新契約を準備していると、英『GIVEMESPORT』が伝えた。

この夏、フラムは移籍市場で静かに、しかし効果的に動いた。GKバンジャマン・ルコントを50万ポンドで獲得し、守備の競争力を高めた。

さらに、ジョナ・クシ=アサレ(バイエルン)、サミュエル・チュクウエゼ(ACミラン)をレンタルで迎え、攻撃陣に多様性を加えた。極めつけは、クラブ史上最高額3,460万でポンドのケヴィン(シャフタール・ドネツク)獲得。

しかし、これらの補強以上に重要だったのはムニスの残留。新戦力が加わる中でも、彼はシウバのシステムにおける「軸」として揺るがない。ターゲットマンとしての役割に加え、サイドや中盤との連動で攻撃の起点となる能力は、他の誰にも代えがたい。

プレースタイルとデータが示す価値

ムニスの強みは、空中戦とポジショニングの精度にある。昨季の空中戦勝率は60%を超え、特にペナルティエリア内での競り合いでは圧倒的な存在感を放った。チェルシー戦では6度の空中戦勝利を記録し、相手守備陣を押し下げる役割を果たした。加えて、11得点中7得点がワンタッチでのフィニッシュによるもので、ゴール前での判断と反応速度の高さが際立つ。

守備面でも、前線からのプレスで相手のビルドアップを寸断する動きが光る。シウバの4-2-3-1において、彼は単なるフィニッシャーではなく、攻守両面でチームのリズムを作る存在となる。

現行契約は残り12か月。フラムはフリー移籍での流出を避けるため、今秋中に新契約を締結する構えだ。昇給幅は非公表だが、クラブ内での評価を反映した条件になることは間違いない。ムニスが長期契約にサインすれば、フラムは戦術的安定と市場価値の両面で大きな利益を得る。

一方で、アタランタのような欧州カップ常連クラブからの関心は今後も続く可能性が高い。契約延長はゴールではなく、あくまでスタートラインだ。クラブが彼を引き留め続けるには、プレミアリーグでの競争力を維持し、欧州の舞台を視野に入れた成長を示す必要がある。

ムニスの存在は、フラムの戦術的柔軟性を広げる。高さとフィジカルを活かしたロングボール戦術だけでなく、足元での連携や裏への抜け出しも可能にするため、相手守備にとって対応が難しい。新加入のチュクウエゼやケヴィンとのコンビネーションが機能すれば、攻撃のバリエーションは飛躍的に増すだろう。

また、彼のポストプレーは中盤の押し上げを促し、セカンドボール回収率を高める効果もある。これは、守備から攻撃への切り替えを速くするシウバの哲学に直結している。

個人的な見解

今回の契約延長交渉は、フラムのクラブ経営と戦術構築の両面で極めて重要な局面だと感じる。

ムニスはまだ23歳で、プレミアリーグでの経験値を積みながら成長曲線の真っただ中にいる。彼を長期的にチームの中心に据えることは、戦力維持というだけではなく、クラブのアイデンティティを形作る行為に近い。

ただし、契約延長が成立しても安心はできない。欧州の強豪は常に才能を探しており、特にフィジカルと決定力を兼ね備えたストライカーは希少。

フラムが彼を守り抜くためには、給与や契約条件だけでなく、クラブとしての野心と競争力を示し続ける必要がある。今季のムニスのパフォーマンスは、その未来を左右するかもしれない。