ブンデスリーガの王者バイエルン・ミュンヘンは、クリスタル・パレス主将マルク・グエイの獲得に向けて水面下で動きを強めている。 今夏のリヴァプール移籍破談を経て、契約延長を拒むグエイは来夏の退団が濃厚。バイエルンはこの状況を好機と捉え、現有戦力の構造と照らし合わせながら補強の必要性を見極めていると、イギリス紙『The Express』が伝えた。
移籍破談の舞台裏とマルク・グエイの現在地
この夏、リバプールは守備陣の刷新を進め、アレクサンデル・イサクの獲得に続き、センターバック補強の最終ターゲットとしてマルク・グエイに照準を合わせた。クリスタル・パレスとの間で3500万ポンドの移籍金で合意し、選手本人も5年契約に同意。ロンドンでのメディカルチェックも完了していた。
しかし、パレスが用意していた代役、ブライトンのイゴール・ジュリオの獲得が破談。ウエストハム移籍を選んだことで、パレスはグエイ放出を急遽撤回した。
この決断は、監督オリヴァー・グラスナー監督の強い意向も影響したとされる。グエイは契約最終年に突入しており、来夏にはフリーでの移籍が可能になるが、パレスは主将を失うリスクよりも今季の戦力維持を優先した。
移籍破談後、グエイはイングランド代表合宿に合流。トーマス・トゥヘル監督は「彼は非常に落ち着いていて、ピッチ上でのパフォーマンスも素晴らしい」と語り、その態度を高く評価している。
リバプールは1月の再交渉を視野に入れているが、状況は夏よりも複雑だ。レアル・マドリードがすでにグエイ陣営と接触し、来夏のフリー移籍での獲得を計画している。さらにバルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、トッテナム、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドも関心を示しており、争奪戦は必至。
リバプールにとって、フィルジル・ファン・ダイクの後継者としてだけでなく、アルネ・スロット監督の戦術におけるハイライン維持の要として構想されている。現有戦力ではイブラヒマ・コナテ、ジョー・ゴメス、ジョヴァンニ・レオーニらがいるが、クアンサーは今夏バイヤー・レバークーゼンへ移籍しており、センターバック陣に不安が残るのは事実。
興味深いのは、リバプールがグエイ獲得失敗後、ブライトンのヤン・ポール・ファン・ヘッケを代替候補としてリストアップしている点。これは、1月にグエイ獲得が難航した場合の保険ともいえる動きだ。
マルク・グエイのプレースタイルと戦術的価値
グエイの最大の武器は、対人守備の強さと予測力だ。昨季プレミアリーグでの1対1勝率は65%を超え、空中戦でも身長182cmながら高い勝率を誇る。加えて、ビルドアップ能力も優れており、昨季のパス成功率は88%。特に中長距離の対角線パスは、相手のプレスを一手で崩す武器となっている。
スロット監督のリバプールは、前線からの高いプレスとコンパクトな守備ブロックを融合させるスタイルを志向しており、センターバックには広大な背後スペースをカバーするスピードと、ラインを押し上げる勇気が求められる。グエイはその条件を満たす数少ない人材であり、戦術的適合度は極めて高い。
1月にグエイを獲得する場合、リバプールは移籍金を支払う必要があるが、契約残り半年という状況から夏よりも低額での交渉が可能になる可能性がある。一方で、パレスが冬の時点で主将を手放すかは不透明だ。残留争いに巻き込まれれば、放出はさらに難しくなる。
また、来夏のフリー移籍を狙うクラブが増えれば、リバプールは給与や契約条件での競争にさらされる。特にレアル・マドリードの存在は大きく、欧州制覇を狙うクラブの魅力は選手にとって無視できない要素となる。
個人的な見解
今回の移籍破談は、リバプールにとって痛手であると同時に、クラブの補強戦略を再考する契機にもなったはずだ。
マルク・グエイは年齢、経験、戦術適性のすべてにおいて理想的な補強対象であり、彼を逃すことは長期的な守備再構築計画に影響を与える。1月に動くか、来夏の争奪戦に備えるか、決断のタイミングは極めて重要だ。
個人的には、リバプールが本気でグエイを獲得するなら、1月の段階で動くべきだと考える。契約満了を待てば競合は増え、条件面での競争は激化する。
グエイはプレミアリーグでの実績があり、即戦力としての信頼性は高い。アンフィールドの赤いユニフォームに袖を通す姿は、まだ十分に現実的な未来として描ける。