ローマで燻る “ウクライナの怪物” ドフビクを巡るプレミア2クラブの駆け引き

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エヴァン・ファーガソンの移籍で、ウェストハムがアルテム・ドフビク獲得に近づく!? Leeds United

ローマのベンチに座るアルテム・ドブビクの表情は、静かでありながらも内に熱を秘めている。ジローナ時代にはラ・リーガ得点王争いを演じ、セリエAのローマへ鳴り物入りで加入したウクライナ代表ストライカー。

昨シーズンこそ45試合で17ゴールを挙げたものの、2025-26シーズンは開幕からエヴァン・ファーガソンの台頭に押され、リーグ戦2試合連続で途中出場にとどまっている。ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の構想から外れつつある現状は、移籍市場の熱を一気に高めた。

その火種を最も強く燃やしているのが、リーズ・ユナイテッドとニューカッスル・ユナイテッド。両クラブは夏の移籍市場でもドブビクを追っていたが、最終的に契約には至らなかったが、関心は衰えていないと、英『On the Minute』が伝えた。

しかし9月に入り、状況は急速に動き出している。ローマは契約が2029年まで残る28歳のストライカーに対し、3000万〜3800万ユーロの移籍金を設定し、複数クラブに売却を打診している。この金額は決して安くはないが、即戦力のゴールゲッターを求めるクラブにとっては十分に投資する価値がある。

リーズ・ユナイテッドの“攻撃の軸”になり得る人材

リーズは今夏、ルーカス・ヌメチャを獲得したものの、開幕からの得点力不足は顕著。特に、相手が守備を固めた際に中央突破の迫力を欠き、クロスやロングボールの受け手となる存在が不足している。

ドフビクは189cmの長身と屈強なフィジカルを武器に、空中戦での優位性とポストプレーの安定感を兼ね備える。さらに、ラ・リーガ時代に見せたカウンター時の推進力は、リーズの縦に速い攻撃スタイルと高い親和性を持つ。

クラブ内部では、フィニッシャーとしてだけではなく、攻撃全体の起点として機能させる構想があるという。サイドからのクロスに合わせるだけでなく、背後への抜け出しやミドルレンジからのシュートも得意とするため、相手守備陣にとっては常に脅威となる。

ニューカッスルが抱える前線の危機と即戦力の必要性

一方、ニューカッスルはアレクサンデル・イサクがリヴァプール移籍を望みクラブと対立し、カラム・ウィルソンも夏に退団。開幕からはアントニー・ゴードンを急造ストライカーとして起用せざるを得ない状況で、エディ・ハウ監督は新たなCF獲得を最優先課題としている。

クラブはドイツ代表FWニック・ウォルトメイドと、ブレントフォードから28歳FWヨアネ・ウィサを獲得した。ストライカーのポジションが整ったものの、いずれもまだニューカッスルにフィットするか分からず、別のストライカーにも注目しておくのは理にかなっている。

彼のプレースタイルは、ニューカッスルのハイテンポな攻撃に適応可能だ。前線からのプレスに積極的で、守備面でも貢献できる点はハウ監督の理想像に合致する。

さらに、セリエAで培ったポジショニングの巧みさと、国際舞台で証明された決定力は、プレミアの激しい試合展開でも十分通用するだろう。

プレースタイルと適応予測

ドブビクは典型的なターゲットマンでありながら、足元の技術も高い。ワンタッチでの落としや、相手DFを背負った状態からの反転シュートは彼の代名詞だ。

ラ・リーガでは裏への抜け出しで得点を量産し、セリエAでは密集地帯でのフィニッシュ精度を磨いた。この二つの経験は、プレミアの多様な守備スタイルに対応する上で大きな武器となる。

また、彼は精神面でもタフだ。ウクライナ代表として国際舞台の重圧を経験し、アウェーの過酷な環境でも結果を残してきた。プレミア移籍が実現すれば、フィジカルとメンタルの両面で即戦力として機能する可能性が高い。

個人的な見解

リーズにとっては、攻撃の軸を確立し、残留争いから一歩抜け出すための切り札。ニューカッスルにとっては、欧州カップ戦圏内を維持するためのフォワード陣の強化となる。

個人的には、ドフビクがプレミアでどこまで通用するかを見てみたい。ラ・リーガとセリエAという異なるスタイルのリーグで結果を残してきた柔軟性は、プレミアのフィジカルとスピードにも適応できるはずだ。

もし彼が1月にもイングランドの地を踏めば、そのインパクトは順位表だけでなく、クラブの未来像にも深く刻まれるに違いない。