リーズ・ユナイテッドの中盤を支える田中碧は、今季プレミアリーグの舞台に立つ前から、英国サッカー界で熱い視線を浴びていた。昨季、フォルトゥナ・デュッセルドルフからわずか300万ポンドで加入した日本代表MFは、加入初年度でチャンピオンシップ制覇に貢献。その活躍は瞬く間に他クラブのレーダーに捉えられた。 特に注目すべきは、セルティック、AFCボーンマス、そしてブレントフォードという3クラブの存在だ。
英『TEAMtalk』によれば、リーズが昇格を逃していれば、セルティックは即座に獲得へ動く準備を整えていたという。ボーンマスとブレントフォードも中盤強化の候補として田中をリストアップし、スカウトを派遣して複数試合をチェックしていたようだ。
各クラブの思惑と関心の背景
セルティックは、ブレンダン・ロジャース監督の下で中盤の刷新を急いでいた。2025年夏の移籍市場では、古橋亨梧やニコラス・キューンら主力が退団し、攻撃面だけでなく中盤の安定感も課題となっていた。
田中の守備範囲の広さと展開力は、スコティッシュ・プレミアシップで即戦力となる資質。特に欧州カップ戦を見据えるセルティックにとって、国際経験豊富な田中は理想的な補強ターゲットだった。 しかし、リーズがプレミア昇格を果たしたことで、セルティックの計画は頓挫。スコットランド王者が提示できる条件では、プレミアの舞台と比較して魅力が薄れるのは避けられなかった。
一方、プレミアリーグ勢のボーンマスとブレントフォードは、より現実的な補強候補として田中を見ていた。ボーンマスは中盤の守備強度とビルドアップの質を高めるため、田中のインターセプト能力と縦パス精度に注目。ブレントフォードは戦術的柔軟性を重視し、田中の複数ポジション対応力を高く評価していた。 両クラブとも、リーズが昇格を逃せば移籍金の高騰を避けつつ獲得できると踏んでいたが、昇格によってそのシナリオは消滅。プレミア残留を目指すリーズにとって、田中は手放せない存在となった。
昇格がもたらしたキャリアの転機
田中自身も英『GOAL』とのインタビューで、昇格が自身の去就を大きく左右したことを認めている。「もし昇格できなければ、他の道を選ぶ可能性もあった」と語る一方で、移籍の難しさを理解していた彼は、昇格という唯一の道に全力を注いだ。 エランド・ロードの歴史と熱狂を肌で感じ、「このクラブはプレミアにいるべきだ」と確信した瞬間から、彼の中に使命感と責任感が芽生えた。
46試合を戦い抜いた過酷なシーズンの中で、昇格争いのプレッシャーは計り知れない。だからこそ、今季は残留争いではなく、より高い位置を目指す戦いに集中している。
2025-26シーズンのプレミアリーグはまだ序盤だが、田中は中盤の戦力のひとりとして稼働している。守備では相手の縦パスを読み切る鋭さ、攻撃ではワンタッチで前線へ展開する速さが際立ち、リーズの試合運びを根底から変えている。 市場価値は加入時の倍以上に跳ね上がる可能性があり、もし冬の移籍市場までにリーズがリーグ戦で苦戦すれば、再び複数クラブが動くことも考えられる。
セルティック、ボーンマス、ブレントフォードの3クラブは、今も田中の動向を注視しているとされる。特にセルティックは、欧州カップ戦の登録期限や冬の補強計画に向けて、再びアプローチする可能性がある。ボーンマスとブレントフォードも、中盤の補強が必要になれば、過去のスカウティングデータを基に再交渉に動くことは十分にあり得る。
個人的な見解
田中碧を巡るこの3クラブの関心は、ただの移籍噂の域を超えている。
セルティックは国内リーグの支配力を維持しつつ欧州での競争力を高めたいという明確な目的があり、ボーンマスとブレントフォードはプレミア残留や中位進出を狙う中で、中盤の質を一段引き上げる駒を求めている。 個人的には、田中が今季リーズで安定したパフォーマンスを続ければ、来夏には再び激しい争奪戦が繰り広げられると見ている。
特に欧州カップ戦を戦うクラブにとって、彼の国際経験と戦術理解度は大きな魅力。リーズがどこまで彼を引き留められるか、その駆け引きも含めて注目していきたい。