ウェストハム・ユナイテッドはガラタサライのトルコ代表FWバルシュ・ユルマズ獲得に向けて本格的に動いている。スペイン紙『Fichajes』によれば、クラブは4000万ユーロ規模のオファーを準備しており、今冬の移籍市場で攻撃陣を立て直す切り札として彼を迎え入れる計画を進めている。
ユルマズは昨季、公式戦48試合で14得点6アシストを記録し、ガラタサライのリーグ連覇に大きく貢献した。今季もすでに7試合で3得点4アシストと好調を維持しており、25歳という年齢を考えればまさにキャリアのピークに差し掛かっている。彼の爆発的なスピードと縦への推進力は、プレミアリーグの強度にも十分対応できると評価されている。
一方で、ガラタサライのオカン・ブルク監督は「我々はユルマズに満足しており、正式なオファーは届いていない」とコメントしており、クラブとしては売却に消極的な姿勢を見せている。しかし、同クラブはビクター・オシムヘンを獲得したことで、前線の補強には成功している。
さらに、ノッティンガム・フォレストやインテル・ミラノもユルマズに関心を寄せているとされ、移籍市場では争奪戦の様相を呈している。特にフォレストはアントニー・エランガの後釜を探しており、2600万ポンド規模のオファーを準備していると伝えられている。
ユルマズがもたらす戦術的インパクトとウェストハムの再建計画
ウェストハムがユルマズに注目する背景には、今夏にモハメド・クドゥスをトッテナムへ放出したことがある。クドゥスの退団によって攻撃の推進力を失ったチームは、ジャロッド・ボーウェンに過度な負担を強いており、攻撃の多様性が欠けている。
ユルマズは左右両サイドをこなせるだけでなく、中央に切り込んでフィニッシュに絡む力も持ち合わせており、ボーウェンとの共演は相手守備陣にとって大きな脅威となるだろう。
また、ユルマズは今季すでに7つのポジションで起用されており、その適応力の高さはガラタサライでも証明済みだ。ウイング、セカンドストライカー、さらには攻撃的サイドバックまでこなす柔軟性は、戦術の幅を広げたいポッター監督にとって理想的な存在だ。ウェストハムが欧州カップ戦出場権を再び狙うためには、こうした万能型アタッカーの存在が不可欠となる。
ただし、リスクもある。ユルマズはトルコ・シュペルリグで輝きを放っているが、プレミアリーグのフィジカルとスピードに適応できるかは未知数だ。過去にもトルコからイングランドへ渡った選手が苦戦した例は少なくない。ユルマズがその壁を乗り越えられるかどうかが、移籍の成否を左右するだろう。
それでも、ユルマズ自身は欧州主要リーグへの挑戦を望んでいる。ハマーズニュースによれば、彼は「ヨーロッパでプレーしたい」と語り、クラブに移籍容認を求めている。この発言は、移籍の現実味を一層高めている。
個人的な見解
ユルマズの獲得は、ウェストハムにとって攻撃陣再建の象徴的な一手になると考える。クドゥスの退団で失われた推進力を補うだけでなく、彼の多彩なポジション適性はチームの柔軟性を飛躍的に高める。
特に、ボーウェンとの両翼を形成できれば、相手守備陣にとっては常に背後を突かれる恐怖と隣り合わせになるだろう。
一方で、4000万ユーロという投資は決して小さくない。もしユルマズがプレミアの強度に適応できなければ、クラブにとって大きな痛手となる。
しかし、挑戦なくして飛躍はない。ウェストハムが停滞から抜け出し、再び欧州の舞台に立つためには、このようなリスクを取る覚悟が必要だ。
ユルマズの移籍は、クラブの未来を左右する「賭け」であり、同時に新たな物語の幕開けでもある。
