トッテナム・ホットスパーはブレントフォードの主将ネイサン・コリンズ獲得に向けて動きを加速させている。英『Team Talk』の報道によれば、スパーズは新監督トーマス・フランクの下で守備の再構築を急いでおり、かつての教え子であるコリンズを最優先ターゲットに据えている。しかし、ブレントフォードは強硬な姿勢を崩さず、冬の移籍市場での放出を完全に拒否している。
コリンズは2023年夏にウルヴァーハンプトンから2300万ポンドで加入し、わずか2年でクラブの象徴的存在へと成長した。今季からはキャプテンマークを託され、すでに公式戦100試合近くに出場。
空中戦での圧倒的な強さと、後方からのビルドアップ能力を兼ね備えた24歳のセンターバックは、プレミアリーグでも屈指の守備者として評価を高めている。特に今季は1試合平均で3.2回のクリア、2.1回のインターセプトを記録し、守備の安定感を数値でも示している。
トッテナムが彼を必要とする理由は理解できる。クリスティアン・ロメロとミッキー・ファン・デ・フェンは高い実力を誇るが、負傷離脱が多く、シーズンを通して安定した稼働を期待するのは難しい。
さらに、ラドゥ・ドラグシンは出場機会を掴みきれず、将来的な去就が不透明なまま。ヨーロッパリーグを制したクラブがプレミアリーグ上位を狙うには、守備の層を厚くすることが不可欠であり、コリンズはその理想像にぴたりと当てはまる。
しかし、ブレントフォードの立場も理解できる。今夏、クリスティアン・ノアゴーアやブライアン・エムベウモら主力を失ったチームにとって、コリンズは残留争いを避けるための絶対的な柱だ。
契約は2029年まで残っており、さらに2年延長オプションも付帯しているため、クラブに売却の圧力は一切ない。むしろ、彼を中心に新たなチームを築き上げることこそが、ブレントフォードの最優先課題となっている。
プレミアリーグ全体を揺るがす争奪戦
トッテナムだけでなく、マンチェスター・ユナイテッドやリバプールもコリンズに熱視線を送っている。リバプールはクリスタル・パレスのマルク・グエヒ獲得が難航した場合の代替案として彼をリストアップしており、ユナイテッドもスカウトを派遣して視察を続けている。プレミアリーグの複数クラブが同時に動くことで、コリンズの市場価値はさらに高騰する可能性が高い。
実際、ブレントフォードが要求する移籍金は5000万ポンドを超えると見られており、これはクラブ史上最高額の売却となる水準だ。財政的に余裕のあるユナイテッドやリバプールに比べ、トッテナムがこの金額を提示できるかどうかは大きな焦点となる。
コリンズ自身のキャリア選択も注目される。アイルランド代表としても中心的存在となりつつある彼にとって、欧州の舞台で戦う機会は魅力的だろう。トッテナムはヨーロッパリーグ王者として来季のチャンピオンズリーグ出場権を狙っており、もしその座を確保できれば、コリンズにとって移籍を決断する大きな後押しとなるはず。
一方で、ブレントフォードでキャプテンとしてクラブの象徴としてファンからの信頼を背負い、チームを引っ張る立場にあることは、選手としての誇りを強く刺激する。移籍によるステップアップと、クラブの象徴としての責任。その狭間で、コリンズがどのような決断を下すのか、今後の展開はプレミアリーグ全体の注目を集めるだろう。
個人的な見解
今回の一連の動きは、トッテナムが「守備の未来」をどう描くかを示す写し鏡になると感じている。
フランク監督にとって、かつての教え子であるコリンズは戦術的にも精神的にも理想的な補強ターゲットだ。
しかし、ブレントフォードの強硬姿勢を考えれば、今冬の獲得はほぼ不可能に近い。現実的には来夏に向けて資金を準備し、クラブの中長期的なビジョンを示す必要があるだろう。
個人的には、コリンズがトッテナムに加われば、ロメロやファン・デ・フェンと並ぶ強固な三本柱が完成し、プレミアリーグでも屈指の守備陣が誕生すると思う。
その一方で、ブレントフォードに残れば、クラブの象徴として歴史に名を刻む存在になれる。どちらを選んでも彼のキャリアは輝きを増すだろうが、トッテナムが本気で彼を迎え入れるなら、単なる補強ではなく「クラブの未来を託す投資」として動くべきだと考えている。
