アンフィールドが欲する守備の核、マルク・グエヒの未来を巡る熾烈な競争

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トッテナムがマルク・グエヒ争奪戦をリード!?リヴァプールの失敗が開いた扉 Liverpool

2025年夏の移籍市場で、リヴァプールはマルク・グエヒ獲得に限りなく近づいていた。クリスタル・パレスとの間で3500万ポンドに加え、将来的な売却益の10%を保証する条件で合意に達し、メディカルチェックまで完了していたと報じられている。

しかし、最終的にパレスが代役を確保できず、オリヴァー・グラスナー監督が強硬に放出を拒否したことで、交渉は土壇場で崩壊し。

グエヒ本人は落胆を隠せなかったが、『TNT Sports』のインタビューでは「太陽は昇り、沈む。人生は続く」と語り、冷静に現実を受け止めている。キャプテンとしてクラブを支える責任感を示しつつも、来夏に契約満了を迎えることから、自身のキャリアの選択肢が大きく広がることを理解している様子だ。

リヴァプールにとって、この失敗は単なる補強計画の頓挫ではない。ジョヴァンニ・レオーニの長期離脱やフィルジル・ファン・ダイクの年齢的な衰えを考えれば、センターバックの補強はクラブの未来を左右する最重要課題となっている。

デイヴィッド・オーンステイン記者は「1月に動く可能性は低く、2026年夏が現実的」と指摘しているが、現場の危機感はそれ以上に切迫している。

グエヒがもたらす戦術的価値と競争の激化

グエヒの魅力は、対人守備の強さと冷静なビルドアップ能力の両立にある。プレミアリーグでのデュエル勝率は常に上位に位置し、空中戦でも安定感を誇る。さらに、縦パスやサイドチェンジで攻撃の起点を作れる点は、アルネ・スロット監督が志向するポゼッション型サッカーに完璧にフィットする。

リヴァプールが彼を「ファン・ダイクの後継者」と見なすのは自然な流れ。コナテはポテンシャルを秘めながらも負傷が多く、ジョー・ゴメスはユーティリティ性が評価される一方で、センターバックとしての安定感に課題を残す。グエヒが加われば、守備ラインの競争は一気に活性化し、チーム全体の守備強度が底上げされるだろう。

しかし、リヴァプールが独占的に交渉を進められる状況ではない。オーンステイン氏は「レアル・マドリード、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティも関心を寄せている」と明かしている。特にマンチェスター・シティは、ルベン・ディアスの負傷リスクを考慮し、守備の補強を検討しているとされる。欧州の強豪が揃って動けば、グエヒの市場価値はさらに跳ね上がることは避けられない。

リヴァプールはすでに代替候補として、ニューカッスルのスヴェン・ボトマン、PSGのウィリアン・パチョ、スポルティングCPのゼノ・デバストやウスマン・ディオマンデといった名前をリストアップしている。だが、いずれも獲得難易度は高く、グエヒほど即戦力かつリーダーシップを備えた存在は見当たらない。

崩壊した交渉の裏側とクリスタル・パレスの思惑

今回の移籍破談には、クリスタル・パレス内部の事情が大きく影響している。クラブ共同オーナーのスティーブ・パリッシュがリヴァプールからのアプローチを一時的に無視し、交渉を停滞させたことが背景にあるという。さらに、グラスナー監督が「代役なしでキャプテンを失うなら辞任も辞さない」と強硬姿勢を示したことが決定打となった。

パレスにとって、グエヒは単なる主力選手ではなく、クラブの象徴的存在だ。彼を失えば守備の安定を欠くだけでなく、チーム全体の士気にも影響する。だからこそ、契約が残り1年となる来夏まで引き留めるリスクを承知で、今夏の放出を拒んだのだ。

しかし、現実的には2026年夏にフリーで退団する可能性が高まっている。英『Sky Sports』は「パレス内部でも契約延長は難しいとの認識が広がっている」と報じており、クラブは来年1月に売却するか、フリー移籍を受け入れるかの二択を迫られることになる。

個人的な見解

マルク・グエヒの移籍劇は、リヴァプールの補強戦略の脆さと同時に、クラブの未来を映し出す鏡だと感じている。

ファン・ダイクの後継者を探す作業は、単なる戦力補強ではなく、次世代のリーダーを見つける作業に等しい。

グエヒはその条件を満たす数少ない存在であり、彼を逃せばリヴァプールは再び守備の再構築に時間を費やすことになるだろう。

一方で、リヴァプールがこの冬に動かない選択をすれば、来夏には欧州の強豪との熾烈な競争に巻き込まれることは避けられない。

資金力で劣るリヴァプールが勝負するには、クラブの哲学や選手育成の実績を前面に押し出し、グエヒに「ここでキャリアの最盛期を過ごすべきだ」と確信させる必要がある。

私の見立てでは、リヴァプールが本当にグエヒを欲するなら、1月に再び動くべきだ。確かに費用はかさむが、守備の不安を放置すれば今季のタイトルレースに致命的な影響を及ぼしかねない。

未来を見据えると同時に、現在の戦いを軽視しない姿勢を示すことこそ、リヴァプールが欧州の頂点を目指すために必要な決断だと考えている。