エンソ・フェルナンデスの名前は再び移籍市場の中心にある。アルゼンチン代表MFは、かねてから「レアル・マドリードでプレーすることが夢だ」と周囲に語ってきたとスペイン紙『Defensa Central』が報じている。
彼の夢はただの憧れではなく、実際にマドリードのスカウト陣がリヴァプール戦でのパフォーマンスを視察し、その実力を高く評価した事実が裏付けている。
チェルシー加入から2年半、フェルナンデスはすでにクラブの副キャプテンを務め、公式戦125試合で19ゴール24アシストを記録。昨季はカンファレンスリーグ制覇、そして2025年夏にはクラブ・ワールドカップ優勝に貢献し、スタンフォード・ブリッジで確固たる地位を築いた。しかし、彼の心の奥底にはベルナベウへの強い憧れが消えることなく残っている。
英『TEAMtalk』のディーン・ジョーンズ記者によれば、マドリードは依然としてフェルナンデスをリストの上位に置いており、来夏の移籍市場で本格的に動く可能性が高いという。
チェルシーは1億3000万ユーロ以上の評価額を設定しているとされるが、マドリードの関心は揺らいでいない。むしろ、クロースとモドリッチという一時代を築いたミッドフィルダーらが去った今、フェルナンデスのような万能型MFはクラブにとって喉から手が出るほど欲しい存在だ。
レアル・マドリードが求める中盤の未来像
シャビ・アロンソ監督の下で再構築が進むマドリードの中盤には、すでにジュード・ベリンガム、オーレリアン・チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガといった若き才能が揃っている。しかし、試合全体のリズムを操り、攻守のバランスを取る「指揮者」の役割を担える選手は限られている。フェルナンデスはその空白を埋める存在として、理想的なピースと見なされている。
彼のプレースタイルは、守備的MFとしての堅実さに加え、縦への鋭いパス、広い視野、そして試合を掌握する落ち着きを兼ね備えている。カタールW杯でアルゼンチンを頂点に導いた経験は、彼が大舞台でも冷静さを失わないことを証明している。今季もチェルシーで全試合に先発し、すでに4つのゴール関与を記録。数字と内容の両面で、彼がプレミアリーグ屈指のMFであることを示している。
マドリードにとって、フェルナンデスはクロースの精密さとモドリッチのダイナミズムを併せ持つ「ハイブリッド型」の後継者と言える。彼が加われば、チュアメニとのダブルボランチで守備を固めつつ、ベリンガムをより攻撃的に解放する布陣が可能になる。アロンソ監督が描く未来像に、フェルナンデスは欠かせない存在となり得る。
チェルシーの立場と移籍市場の行方
もちろん、チェルシーにとってフェルナンデスは手放し難い存在だ。エンツォ・マレスカ監督の戦術において、彼は中盤の心臓部であり、攻守の切り替えを支える不可欠なピースである。クラブは財務的な合理性と競争力維持の間で難しい判断を迫られている。売却すれば巨額の資金を得られるが、チームの骨格を失うリスクも背負うことになる。
それでも、移籍市場は常に流動的。マドリードが本気で動けば、フェルナンデスの夢とクラブの事情が交錯し、来夏には大きな動きが起こる可能性がある。彼の契約は2032年まで残っているが、選手本人の意思とクラブ間の交渉次第で状況は一変するだろう。
個人的な見解
エンソ・フェルナンデスのケースは、選手の夢とクラブの現実がせめぎ合う典型例だと感じる。彼のプレーを見れば、マドリードが惚れ込むのも当然。
中盤で試合を支配し、攻守両面で違いを生み出せる選手は世界でも限られている。クロースやモドリッチの後継者として、彼ほど適任な存在はそう多くない。
ただし、移籍は選手の意思だけで決まるものではない。チェルシーは財務的な圧力とチームの競争力維持の間で揺れており、マドリードも巨額の投資に踏み切るかどうかを慎重に見極めている。
個人的には、来夏の移籍市場で両クラブが再び交渉のテーブルにつく可能性は高いと考えている。
フェルナンデスがベルナベウの白いユニフォームに袖を通す日が来るのか。その答えは、2026年夏の移籍市場で明らかになるだろう。