ハリー・マグワイアの未来が、いま大きな岐路に立たされている。マンチェスター・ユナイテッドとの契約は2026年夏まで延長されているが、その後の展望は不透明だ。
クラブは新たな契約を提示する可能性を探っている一方で、サウジアラビアのアル・ナスルやアル・イテファクが獲得に強い関心を示している。来年1月からは海外クラブとの事前交渉が可能となり、マグワイアの去就は一気に加速する可能性があると、英『Daily Mirror』が報じた。
マグワイアとユナイテッドの6年間
2019年夏、レスター・シティから当時世界最高額の8700万ユーロで加入したマグワイアは、ユナイテッドの象徴的存在となった。キャプテンマークを託され、堅実な守備と空中戦の強さでチームを支えたが、2021-22シーズン以降は度重なるミスやスピード不足が批判の的となった。
エリック・テン・ハフ政権下では序列を落とし、キャプテン剥奪という屈辱も味わった。しかし2024年にルベン・アモリムが監督に就任すると状況は一変。守備ラインの再構築においてマグワイアの経験とリーダーシップが再評価され、今季も公式戦6試合に出場し1ゴールを記録している。
クラブは彼の復調を受けて契約延長を検討しているが、同時に世代交代を進めたい意向もあり、結論は先送りされている。
サウジプロリーグはここ数年で欧州のスター選手を次々と獲得し、世界的な注目を集めている。クリスティアーノ・ロナウドらを筆頭に、ヨーロッパで活躍している20代後半〜30代のプレーヤーを中心に獲得を推し進めている。
アル・ナスルはアイメリク・ラポルトを放出したばかりで、即戦力のセンターバックを求めている。マグワイアは空中戦勝率の高さとセットプレーでの得点力を兼ね備え、さらにロナウドとの再会という話題性も加わる。一方、アル・イテファクも守備陣の強化を急いでおり、経験豊富なマグワイアは理想的な補強候補と見られている。
契約満了まで残り1年を切った今、ユナイテッドが冬に売却して移籍金を得るか、それとも来夏にフリーで放出するかは大きな判断材料となる。サウジ勢にとっては、1月からの事前交渉が最大のチャンスだ。
マグワイアの選択肢
マグワイア自身は現契約を全うする意向を示していると報じられているが、サウジからのオファーは経済的にも競技的にも魅力的だ。32歳という年齢を考えれば、キャリアの最終章をどこで迎えるかは極めて重要な決断となる。
ユナイテッドに残れば、プレミアリーグでの名誉と伝統の中で戦い続けることができる。一方でサウジに移籍すれば、巨額の報酬と新たな舞台での挑戦が待っている。どちらを選ぶにせよ、その決断は彼のキャリア全体を象徴するものとなるだろう。
個人的な見解
ハリー・マグワイアの去就は、プレミアリーグとサウジプロリーグの力関係を映し出す鏡でもある。
欧州で批判を浴び続けた選手が、中東で再評価される構図は、サッカー界の重心が変わりつつあることを示している。
マグワイアのプレースタイルは、サウジのフィジカル重視のリーグに適している。空中戦の強さ、統率力、そして経験値は、年齢を重ねても衰えにくい要素。
もし彼がアル・ナスルでロナウドと再び共闘することになれば、それは単なる話題性にとどまらず、リーグ全体の守備レベルを引き上げる可能性がある。
個人的には、マグワイアがユナイテッドに残り、リーダーとして若手を導く姿も見てみたい。しかし、サウジで新たな挑戦を選ぶのであれば、それは彼にとってキャリアの“終着点”ではなく、“再出発”となるだろう。
32歳という年齢をどう捉えるか。その答えが、彼の未来を決定づける。