19歳のブラジル人ストライカー、エンドリッキの去就が大きな注目を集めている。2022年にパルメイラスからレアル・マドリードへの移籍が決定し、2024年夏に正式加入した逸材は、すでに37試合で7得点を記録している。
しかし今季は負傷明け以降、ラ・リーガでベンチ入りが続くものの出場機会を得られていない。スペイン紙『SPORT』の報道によれば、マドリードは1月の移籍市場でローン移籍を容認する姿勢を見せており、ウェストハムが有力な候補として浮上している。
カルロ・アンチェロッティがかつて「スペクタクル」と評した才能は、ただベンチに座らせておくにはあまりにも惜しい。エンドリッキ自身も2026年ワールドカップを見据え、ブラジル代表に食い込むためには継続的な出場が不可欠となる。
ウェストハムが狙うエンドリッキの即戦力性
ウェストハムは今季、攻撃面で深刻な課題を抱えている。リーグ戦で複数得点を挙げた試合はわずか1度。ニクラス・フュルクルクは負傷も重なり波に乗れず、カラム・ウィルソンも出場機会を得られていない。ヌーノ・エスピリト・サント監督は組織面の再構築を進めているが、ゴール前での決定力不足はチームの順位を押し下げる要因となっている。
その中で、エンドリッキのスピードとドリブル、そしてゴール前での冷静さは即効性のある補強となり得る。彼は前線の中央だけでなく、サイドでもプレー可能であり、攻撃のオプションを一気に広げる存在だ。さらに、プレミアリーグ特有のフィジカルな環境に適応できれば、短期間で大きな成長を遂げることが期待される。
レアル・マドリードの思惑とブラジル代表への道
レアル・マドリードにとっても、ローン移籍は合理的な選択肢だ。キリアン・エムバペやヴィニシウス・ジュニオールといった世界屈指のアタッカー陣が揃う中で、エンドリッキが十分な出場時間を得るのは難しい。だが、彼を放出する意図はなく、むしろ数年後の主力として計算しているからこそ、実戦経験を積ませる場を探しているのだ。
ブラジル代表に目を向ければ、2026年ワールドカップに向けて世代交代が進む中、エンドリッキの存在感はますます重要になる。ガブリエウ・ジェズスやリシャルリソンといった既存のストライカー陣に加え、新たな才能が台頭する中で、彼が代表に定着するためには欧州のトップリーグでの実績が不可欠だ。ウェストハムでの挑戦は、その足掛かりとなるだろう。
個人的な見解
エンドリッキのローン移籍は、選手本人、レアル・マドリード、そしてウェストハムの三者にとって利益のある選択肢だと考える。
特にウェストハムにとっては、停滞する攻撃陣に新たな刺激を与える存在となり得る。彼の爆発的なスピードとゴールへの嗅覚は、プレミアリーグの守備陣にとって脅威となるはず。
一方で、19歳という年齢を考えれば、適応に時間がかかるリスクもある。だが、失敗を恐れてベンチに座り続けるよりも、挑戦の中で成長する方がはるかに価値がある。
アンチェロッティ前監督が高く評価した才能を眠らせておくのは、世界サッカーにとっても損失だ。
もしこの冬にウェストハム行きが実現すれば、彼のキャリアは新たな局面を迎えるだろう。そして、その経験が2026年のワールドカップでブラジルを救う一撃につながる可能性は十分にある。
