マンチェスター・ユナイテッドはスポルティングCPのキャプテン、モルテン・ヒュルマンド獲得に向けて6000万ユーロのオファーを準備していると、スペイン紙『Fichajes』が伝えている。
ルベン・アモリム監督が率いるユナイテッドは、夏の移籍市場で中盤補強に失敗した後、冬の移籍市場での即戦力獲得を最優先課題に掲げている。ヒュルマンドは2023年にレッチェからスポルティングへ加入し、わずか2年でリーグ優勝と国内カップ制覇を経験。現在ではチームの精神的支柱としてキャプテンマークを託されている。
ユナイテッドが彼に注目するのも当然。カゼミーロの契約が残り少なくなり、年齢的にも全盛期を過ぎつつある中で、守備的MFの後継者が必要とされている。
ヒュルマンドは強靭なフィジカルと高い戦術理解度を兼ね備え、ボール奪取から展開力まで幅広くこなす万能型の中盤選手だ。プレミアリーグの強度に適応できるかという懸念はあるものの、ポルトガルでの実績とデンマーク代表での安定したパフォーマンスは、その不安を払拭するに十分な説得力を持つ。
ヒュルマンドのプレースタイルとユナイテッドへの適合性
ヒュルマンドの最大の強みは、守備的MFとしての「読み」と「強度」にある。昨季のプリメイラ・リーガでは1試合平均2.5回のインターセプト、3.1回のタックル成功を記録し、相手の攻撃を未然に防ぐ能力を証明した。
また、ただのボールハンターではなく、88%を超えるパス成功率を誇り、後方からのビルドアップにも積極的に関与する。縦パスやサイドチェンジで攻撃のリズムを生み出す姿は、ユナイテッドが求める「攻守のバランス」を体現している。
さらに注目すべきは、彼のリーダーシップだ。スポルティングでは加入からわずか1年でキャプテンに任命され、若手からベテランまでをまとめ上げる存在となった。
ユナイテッドはここ数年、ピッチ内外での統率力不足に悩まされてきた。ブルーノ・フェルナンデスがキャプテンとして奮闘しているが、守備的MFにリーダーシップを発揮できる選手が加われば、チーム全体の安定感は格段に増すだろう。
移籍交渉の行方と競合クラブの存在
ただし、交渉は容易ではない。ヒュルマンドの契約には7000万ポンドの解除条項が設定されており、スポルティングは主力流出に慎重な姿勢を崩していない。ユナイテッドが提示する6000万ユーロでは、交渉が難航する可能性が高い。
さらに、トッテナムも同選手に関心を示しており、プレミアリーグ内での争奪戦に発展する可能性がある。ユナイテッドが本気で獲得を望むなら、金額面だけでなく、アモリムとヒュルマンドの信頼関係を最大限に活かす必要がある。
ユナイテッドは過去にも中盤の再建に巨額を投じてきた。マイケル・キャリックの後継者探しに苦労し、ポール・ポグバの復帰も期待通りには機能しなかった。
カゼミーロの加入は一時的に安定をもたらしたが、持続性には限界がある。ヒュルマンドの獲得は、単なる補強ではなく、クラブの中長期的な戦略を左右する重要な一手となる。彼が加入すれば、ユナイテッドは中盤の強度と安定感を取り戻し、プレミアリーグの上位争いに再び食い込む可能性が高まる。
個人的な見解
モルテン・ヒュルマンドの獲得がユナイテッドにとって極めて合理的な選択だと考えている。
彼はアモリムの戦術哲学を理解しており、監督と選手の間に築かれた信頼関係は、移籍後の適応をスムーズにするだろう。
プレミアリーグの強度に即座に対応できるかは未知数だが、彼のフィジカルと戦術眼を考えれば、時間の問題に過ぎない。
一方で、資金面でのリスクは無視できない。6000万ユーロという金額は決して小さくなく、さらに解除条項に近い額を提示する必要があるかもしれない。
しかし、ユナイテッドが本気で中盤を再建するのであれば、この投資は避けられない。私自身は、ヒュルマンドがオールド・トラッフォードに立つ姿を見たいと思う。
彼の加入が実現すれば、ユナイテッドは再び中盤に安定と覇気を取り戻し、プレミアリーグの覇権争いに名乗りを上げるはずだ。
